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理事長あいさつ

独立行政法人海洋研究開発機構 理事長 平 朝彦

独立行政法人海洋研究開発機構

理事長
平 朝彦

 地球は、水に覆われたユニークな惑星として、宇宙空間に青く美しく輝いています。生命の誕生も、プレートテクトニクスの駆動も、大気−海洋系のダイナミクスも、すべてこの水の特徴に帰結すると考えられます。したがって、地球と生命の進化、地球環境の変遷と今後の予測などの統一的理解を目指すサイエンスは、「海洋地球生命科学」と呼ぶことができます。

 海洋地球生命科学は、今まさに、新たな局面を迎えようとしております。例えば、海底下数kmの極限環境下で生きる地下圏微生物の発見・解明が進むことより、「地球の営み」という名のもとで、従来別々なものと考えられていた現象が、「水の存在」と「生命活動」というキーワードによって、実は密接に結びついていることが分かってきたからです。さらに、資源や防災に関する基礎科学なども、その延長にあることも明らかになってきました。

 海洋研究開発機構(JAMSTEC)は、まぎれもなく、この新しいパラダイム「海洋地球生命科学」を切り開くことができる、おそらく世界唯一の研究機関です。なぜなら、世界最高レベルの海洋研究観測とサンプル分析能力、高度な計算機実験能力、これを使いこなすモチベーションの高い研究者や技術者、そしてそれを支援し、かつ推進する船舶運航および事務管理システムがひとつに統合されている組織は、世界でも類を見ないからです。新しい海洋地球生命科学への挑戦は、同時に海洋立国としての我が日本の国益に資するものであり、そして人類の未来にも大きく貢献するものであります。

 日本は、世界第6位の排他的経済水域を有し、そこには世界最強の海流黒潮、多様な生物群集、無数の海山群、そして世界最古の海洋底など、世界の海洋の縮図が存在しています。また、東日本大震災は、日本を取り巻く世界にも類を見ない活動的なプレート境界で起った巨大地震・津波が原因でした。この海洋を知り尽くし、積極的に活用し、国民の財産と命を守り、遺産とすべきものを子孫に残すこと、さらにその知見によって地球と人間活動全体の理解に貢献することが、海洋立国日本の使命です。

 海洋研究開発機構には、研究開発、海洋探査、国際共同研究など多くの実作業を行う現場を持ち、多様な経歴や職種の人々が常時、切磋琢磨を繰り返しています。このようなダイナミックな職場環境の中で、全員が同じ方向をまっすぐ見据えて、様々な状況のなかで、活路を見いだそうと全力を尽くしております。

 以上のように、海洋研究開発機構は、基礎科学技術から掘り起こし、大学など他の研究教育機関との連携、幅広い国際協力に邁進するとともに、さらに社会が抱える様々な課題の解決に向けた現実的ソリューションを提供・支援する名実ともに世界をリードする研究機関でありたいと思います。

 海洋研究開発機構のさらなる発展のために、国民の皆様からの一層のご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。