技術レポート Feb.2013 vol.4

バチルス属に特異性の高い殺菌剤

土壌、水、塵埃などに広く分布しているバチルス属細菌(納豆菌、食中毒セレウス菌、炭疽菌などが含まれる)への特異性が高く、また人体への安全性が高い殺菌剤を見出しました。

特許第5044190号「バチルス属細菌の殺菌方法又は溶菌方法とその利用」

本剤はメチル化β- サイクロデキストリン(以下、MβCD)あるいはα- サイクロデキストリンを用いたもので、バチルス属細菌に特異性の高い殺菌・溶菌効果を示すことが特徴です。従来の殺菌剤には、細菌の細胞壁の合成を阻害する抗生物質や、細胞壁を分解する酵素などがありますが、前者は分裂静止期の細菌には効果がなく、後者は酵素の至適温度が必要でした。また、それら殺菌剤は効き目のある菌種が広く、特定の菌種にのみ作用する殺菌剤は知られていませんでした。

溶菌特異性 MβCDの濃度 S,aureus,E.coli,B.subtilis,B.halodurans,B.cereus

グラフ●溶菌特異性
グラム陽性菌のStaphylococcus aureusとグラム陰性菌のE. coli、バチルス属のB. subtilisB. haloduransB.cereus(食中毒菌)での試験結果。縦軸は溶菌率。
MβCDはS. aureusE. coliには20mMの濃度でも効果は弱いが、バチルス属には高い溶菌作用を示している。

MβCD の特徴は、バチルス属菌への作用特異性の高さであり、食中毒の原因菌として土壌中に広範囲に存在しているB. cereus菌やその近縁種に殺菌効果を示すことです。また、サイクロデキストリン類は、食品や化粧品の分野などで包接化合物としても使用されており、人体への安全性の高い物質です。これまでMβCDの殺菌・溶菌作用は知られていませんでしたが、本発明によりMβCD の特異な殺菌効果が見出され、人体への安全性の高い殺菌剤の開発へとつながることが考えられます。

細菌増殖抑制作用

写真●細菌増殖抑制作用
寒天培地に、B. halodurans菌を塗布後、異なる量(5〜20mg)のMβCD を滲みこませた濾紙デスクを置き、さらに培養した。明瞭な増殖阻止円が見られる。

■発行
発行元:独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)事業推進部 推進課
発行日:2013年2月
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