フラーレンナノ粒子分散液とその製造方法
フラーレンを直径が数十〜数百ナノメートルのナノ粒子にして分散液を作る方法を開発しました。
フラーレン固体粉末に微粉化の操作を加えることで水分散性を高め水溶液化が可能となり、従来の方法と比べて操作が簡便であり、低コストで安全性の高い分散液の製造が可能です。
◆特許第4969074 号「フラーレンナノ粒子分散液とその製造方法」
フラーレンは機能性化合物としての産業利用が期待されていますが、フラーレン自身の極性の低さから溶液にすることが難しく、産業利用への課題のひとつとなっています。これまで様々な方法でフラーレンに水溶性や水分散性を付与する試みが行われてきていますが、製造効率や使用する溶媒の安全性の面から決定的な方法はまだありません。
本発明では、製造プロセスの最初にフラーレンを微粉化するステップを加えることで、水をはじめ各種溶媒への分散性を高められ、混合・撹拌によりフラーレンをナノ粒子として溶媒に安定的に分散させる方法を開発しました。フラーレン固体粉末の微粉化は乳鉢でも可能なことに加え、水は超純水など精製水のほか水道水も利用できることから、安全性が高く、操作が簡便で低コストの方法です。
本法は、フラーレンの溶解度の低い、水やアルコールを用いた分散液が調製可能であり、溶媒の安全性からフラーレンを生理活性物質として使用する際などにも有効と考えられます。
- 発明者:
- 出口 茂
海洋・極限環境生物圏領域
深海・地殻内生物圏研究プログラム
ソフトマター応用生命研究チーム ほか
表●各従来法と本法の比較
| 各従来法とその問題点 | 本法で解消される点 | |
|---|---|---|
| 方法 | 問題点 | |
| 化学修飾 | ・フラーレンの物性変化 ・修飾プロセスが煩雑 |
・物性変化は無し ・操作が簡便 |
| 水溶性包摂 化合物 |
・包摂ホストが高価 | ・溶媒は水で安価 |
| 有機溶媒から の再結晶法 |
・残存溶媒の除去が困難 | ・水を使用でき安全性が高い |
| 超音波処理 や撹拌 |
・粒径が大きい (μm オーダー) ・フラーレン量が低濃度 (数μg/mL) |
・粒径が小さい (nm オーダー) ・高濃度 (数100μg/mL) |
| 固体フラーレン |
| ↓ |
| 乳鉢等で微粉化 |
| ↓ |
| 水を加える |
| ↓ |
| 混合・撹拌 |
| ↓ |
| 完成 |
図●フラーレンナノ粒子分散液
の製造手順
- ■発行
- 発行元:独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)事業推進部 推進課
- 発行日:2013年3月
- ■お問い合わせ先
- 事業推進部 推進課(〒237-0061 神奈川県横須賀市夏島町2-15 本館6階)
- TEL:046-867-9246 FAX:046-867-9195
- E-mail:chizai@jamstec.go.jp

