JAMSTEC

平成9年4月1日
宇宙開発事業団
海洋科学技術センター


地球科学分野における宇宙開発事業団と海洋科学技術センターの協力について


宇宙開発事業団(理事長内田勇夫)及び海洋科学技術センター(理事長平野拓也)は、 これまでも地球観測衛星による観測及び海洋観測等地球科学分野における研究開発の推進を行ってきた ところでありますが、今後の地球変動予測に関する研究開発にかかる協力を一層強化し、 効果的、効率的な研究開発活動の推進を図るため、本日付けで両機関理事長により 協力連絡体制に関する覚書を締結しますのでお知らせします。
なお、本覚書に基づいて、宇宙開発事業団及び海洋科学技術センターは、地球フロンティア 研究システムの創設及び地球観測システムの研究開発等に関し別紙のとおり協力して 作業に着手することとします。

        問合せ先
          宇宙開発事業団総務部広報室 宮里 Tel;03-5470-4127~9
          海洋科学技術センター広報室 杉山 Tel;0468-67-5502
          地球フロンティア研究システム合同準備チーム 山西、小路 Tel;03-3593-2501

平成9年4月1日


宇宙開発事業団と海洋科学技術センターの研究開発の内容及び進め方について


1.協力のための覚書の内容

    (1)宇宙開発事業団と海洋科学技術センターは、地球科学分野に関し、緊密な連携のもと に効率的かつ円滑な研究開発の推進を図るため、両理事長をはじめとする関係役員等により 構成される協力連絡会を設置し、協力活動に係る基本方針、基本構想、基本計画等について 協議する。

    (2)協力連絡会には、具体的な協力活動を推進するための分科会を置く。

    (3)協力連絡会は、定期的に開催し両機関の密接な協力体制を構築していく。

2.協力内容について
    平成8年7月に出された航空・電子等技術審議会地球科学技術部会の報告書「地球変動予測の 実現に向けて」において、地球変動予測に向けた研究の目標、推進方策が示されているところ、 本報告書に従い、平成9年度から、宇宙開発事業団及び海洋科学技術センターは、地球変動 メカニズムを解明するための基礎科学研究、研究に必要なデータを取得するための最新の観測 技術による地球観測システムに関して、以下のとおり緊密に協力を行う。

    (1)地球フロンティア研究システムの創設

      基礎科学研究については、卓越した研究者を中心として、その指導の下に研究者を 集めて、かかる研究を行う「地球フロンティア研究システム」を宇宙開発事業団と海洋科学技術センター 共同で新規に実施することとしている。

      ア.創設のための準備としては、今般の覚書を踏まえて、地球フロンティア研究システム 合同準備チームが正式に発足し

        1) 国内外の研究拠点つくり
        2) 計算機利用等地球変動予測に関する研究を実施するための研究環境作り
        3) 国内外の研究者を参加させるための諸規程作り
        等について平成9年10月に研究システムを創設することを目標に準備を進めていく。

      イ.具体的研究テーマとしては、報告書の中で目標としている以下の6つの戦略プログラム
        1) アジア・太平洋地域における気候変動の予測
        2) アジア地域における水循環の予測
        3) 地球温暖化の予測
        4) アジア・太平洋地域における大気組成の変動の予測
        5) アジア地域における生態系の変動の予測
        6) 地球内部変動メカニズムの解明
      のうち1)から3)の3つのプログラムについて当面着手するとともに、変動を計算機で シミュレーションするためのモデル統合化研究について実施する。

    (2)地球観測システムに係る研究開発協力について
      観測活動における連携を図るとともに以下の分野を中心により連携を深めて行くこととしている。

      ア.衛星、海洋観測船及び海洋観測ブイ等観測活動の連携による地球科学分野への貢献

        従来から、海洋観測船で取得した実データによる衛星データの検証等を実施してきたが、 今後は、地球フロンティア研究等科学面からの要請を踏まえ観測衛星と海洋観測との 連携をより一層緊密にして実施する。

      イ.衛星データ及び海洋観測データの相互利用

        宇宙開発事業団と海洋科学技術センターは、従来から共同研究を通じ、衛星データの 利用について協力してきたが、今後は、協力連絡体制の下、衛星データと大型海洋 観測研究船「みらい」等により取得される海洋観測データの相互利用をより一層 促進していく。

    (3)さらに両機関のみならず国内外の関係研究機関及び研究者との研究交流及び 地球科学分野における協力を促進する。

3.各分野の研究開発の推進に当たっては連絡協力会の中に分科会を設置し、 実施体制等の整備を行っていくこととする。