JAMSTEC
平成9年7月18日
海洋科学技術センター

黒潮流路予測に大幅前進


海洋科学技術センター(理事長 平野 拓也)は、高解像度の海洋モデルとスーパーコンピュータを使って、黒潮流路の変化をシミュレーションしました。この結果、流量が小さいと流路は直進型(図1)、大きいと蛇行型(図2)をそれぞれ示し、黒潮流路の蛇行は、流量に大きく影響されていることが明らかとなりました。

今回の海洋モデルは空間的に高解像度で計算するとともに、観測値に近い流量を用いており、過去のシミュレーションに比べて現実的なものです。この結果はトカラ海峡の流量測定など他の観測データと一致しており、黒潮変動が定量的に把握できることから、黒潮流路の予測が大幅に前進したことになります。

黒潮流路の変動は、水産、海運をはじめ地域の気象、海洋汚染・防災まで国民生活に多大な影響を及ぼしており、その流路予測は極めて重要です。この結果は、10月に鹿児島で開催予定の日本海洋学会秋季大会で発表される予定です。

昨年から7月20日が国民祝日「海の日」に制定され、地球環境の保全等という観点からも、海の役割が重要視されています。今後とも、海が地球環境に及ぼす影響を解明すべく、研究に邁進していく所存です。皆様のご理解を賜りますようよろしくお願い申し上げます。



問い合わせ先:海洋科学技術センター
海洋観測研究部 菱田、三寺
TEL.0468-67-3878
普及・広報室 池川
TEL.0468-67-5502


図1


図2