JAMSTEC

「ナホトカ号」沈没部に関するこれまでの調査結果と今後の調査方針

平成9年1月31日
科 学 技 術 庁
海洋科学技術センター


  1. これまでの調査概要とその結果

      1月25日から1月28日までの4日間にわたり、海洋科学技術センタ−の深海観測 装置「ディ−プ・トウ」を搭載した支援母船「なつしま」(1,553総トン)は、 ナホトカ号の後部船体が沈んでいると見られる海域(隠岐島の北東約140キロメ− トルの地点の付近では油の湧出が続いている。)の調査を行った。その結果、以下の ことが判明。

      (1) ソ−ナ−曳航体調査により北緯37度14分、東経134度25分の水深約2,5 00メ−トルの海底に船体と見られる物体があることを確認(1月25、26日)

      (2) 上記の物体が、船体であることをカメラで確認。船体を撮影。(1月27日)手摺 、居住区画の一部と見られる部分を確認。

      (3) ソ−ナ−曳航体調査により、この船体の大きさが約100−150メ−トル、高さ 約20−30メ−トルであることが判明(ナホトカ号全体は長さ約177メ−トルで あり、漂着した船首部は約50メートル)。また、船体は、長手方向が北東−南西の 向きに横たわっていることが判明。

      結論として、

      • 発見地点、船体の大きさ等から見て「ナホトカ号」の可能性はあると推定されるが 、その確認はできていない。
      • 沈没船体のビデオカメラ映像から油の流出は確認できなかった。

  2. 今後の調査方針

      これまでの調査結果を踏まえて、
        1) 沈没部が「ナホトカ号」であることの直接的な確認
        2) 「ナホトカ号」沈没部からの油の流出の有無及び流出を確認した場合にはその状況の把握
      の2点について、海洋科学技術センタ−のこれまでの調査成果をもとに、関係省庁と も協力して引続き努力。

      このため、以下の方針で調査を続け、政府の対策本部等における「ナホトカ号」沈没 部対策に関して、基礎的な資料を提供していく。

    • 海洋科学技術センタ−の確認した船体の調査に関し、深海探査機「ドルフィン−3K 」を投入し、
      (1) ナホトカ号船体であることの直接的確認、船体の状況のより詳細な把握、
      (2) 油の流出の有無及びそれを確認した場合にはその状況の把握を行う。

    • 上記深海探査機「ドルフィン−3K」について、3月中旬までの定期点検予定を大幅 に短縮し、舞鶴港に陸送、支援母船「なつしま」に搭載し、2月7日に舞鶴港を出港 させ、現場海域に向かわせ、天候が許せば2月9日から調査開始というスケジュ−ル で進める。(「ドルフィン−3K」は、3,300メ−トルの水深まで潜れる探査機で 、先に用いた「ディ−プ・トウ」は自航能力がなくカメラが真下の物体の画像しか撮 影できないのに比べ、自らかなり自由に動き回れる、従って色々な角度からの映像が 撮れる等の優れた性能を有している。)

    なお、「ドルフィン−3K」投入までの間、天候を見ながら、「ディ−プ・トウ」によ る調査を更に継続する。


    深海探査機「ドルフィン−3K」

    「ドルフィン−3K」は、水深3,300mまで 潜航が可能な深海探査機で、ケーブルをつうじて船上の制御室より 動力、情報の伝達を行うことにより自航能力を有する。 推進装置は6台あり、自由度の高い動きが可能であることから搭載されている 高性能TVカメラにより様々な角度からの映像撮影が可能。



    支援母船「なつしま」

    深海探査機「ドルフィン−3K」や深海観測装置「ディープ・トウ」の 整備補給システムが完備されており、洋上基地の役目を果たす。 (1,553総トン)



    問い合わせ先:
    海洋科学技術センター広報室(高橋、杉山)
     TEL 0468-67-5502

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