JAMSTEC

「ナホトカ号」沈没部の再調査について

平成9年2月24日
科 学 技 術 庁
海洋科学技術センター


2月23日(日)08時05分〜14時13分、海洋科学技術センター(理事長 平 野 拓也)の支援母船「なつしま」(1,553総トン)は、深海探査機「ドルフィ ン−3K」による潜航調査を実施しました。

今回の潜航では、油の漏出状況のより詳細な把握を目的に、右舷側の手摺りに沿って 調査を行いました。右舷側3番、4番タンクの甲板面の全部及び中央7番、8番、9 番タンクの甲板面の一部を観察し、その結果は以下のとおりでした(得られた映像は 別添参照)。なお、船体甲板の左舷側及び中央6番タンクは、船上構造物による障害 のため観察できませんでした。(中央5番タンクについては、これまでの調査の結果 甲板に折損が認められており、当該タンク内のほぼ全量が既に流出しているものと推 定されている。)

    右舷側3番タンク ;油の漏出は観察されなかった。
    右舷側4番タンク ;前回確認されたマンホールからの漏出に加え、後部手摺 り下の亀裂から油の漏出を観察。
    中央7番タンク ;油の漏出は観察されなかった。
    中央8番タンク ;マンホールから筋状に油が漏出しているのを観察。
    中央9番タンク ;タンク上のパイプラインが多数破損しており、その付近から油が 漏出し踊り場下部と手摺りに付着している様子を観察。ただし、その油が貨物油(重 油)か燃料油かは不明。
(なお、ビデオ映像は現在搬送中です。)

「なつしま」が1月23日に神戸港を出港して以来、深海観測装置「ディープ・トウ 」及び「ドルフィン−3K」を用いて行ってきたおよそ1ヶ月にわたる一連の調査に より、

  • 沈没船体の発見、「ナホトカ号」であることの確認
  • 「ナホトカ号」沈没部船体の状況の把握
  • 「ナホトカ号」沈没部船体からの油の漏出状況の把握
  • 「ナホトカ号」沈没部船体の破断面の詳細な観察
等を行うことができました。これにより、本調査の目的は達成されたものと考えられま す(計14回潜航)。一連の調査の結果は、今後貴重な資料として船尾部の残存油対 策、事故原因の究明に活用されることとなります。

なお、「なつしま」は本日16時に舞鶴港を出港し、海洋科学技術センター本部(神 奈川県横須賀市追浜)に向かうこととしております(3月4日から伊豆・小笠原海域 において調査を行う予定です。)。

問い合わせ先:海洋科学技術センター広報室
鎌田、杉山 0468−67−5502

No.1
4番右舷タンクの手摺りの下の亀裂から漏出する油

No.2
油が居住区前の 踊り場下部と手摺りに付着している様子

<参考>

「ナホトカ号」(1970年建造)と同型船(船名不明)の写真(原画を反転)
(出典:ソビエト・マーチャントシップス(1981年版))

主要目
全長:177.3m
幅:22.4m
総トン数:13,733トン


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