JAMSTEC
平成10年10月12日
海洋科学技術センター


沖合浮体式波力装置「マイティーホエール」の現状について



  1. 1.経過
    海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)の実海域実験実施中であった沖合浮体式波力 装置「マイティーホエール」は、平成10年9月18日夜に電気系及び無線伝送系に異常 信号が発生し、陸上計測本部への通信が途絶しておりました。
    通信が途絶した9月18日から9月23日にかけては、台風6、7、8号の通過により実 験現場海域である三重県度会郡南勢町五ヶ所湾は時化の状態が継続していたため、天候の 回復を待ち、9月24日から「マイティーホエール」内にて原因調査を実施致しました。 その結果、当初異常信号が発生した、1・2号波力発電装置のインバータ(直流交流変換 器)、1号波力発電装置の10kWコンバータ(交流直流変換器)及び無線伝送装置の各 本体には異常は認められませんでした。このため更に調査を行ったところ、今回の異常発 生は、発電余剰電力を熱エネルギーに変換する負荷抵抗器に、通気筒から進入した海水が 付着し、アーク(高電圧の火花)が発生したため負荷抵抗器の絶縁抵抗が低下し、インバ ータへの入力電圧が過大となりインバータが停止したためであることが判明いたしました 。
    また、現場において台風の高波によると思われる損傷が以下のとおり確認されました。 (別図参考)
     
      (1)補助発電機室、空気圧縮機室及びバッテリー室への海水の侵入、並びに海
        水侵入による補助発電機の絶縁抵抗低下
      (2)右舷容量式波高計の破損
      (3)船舶電話アンテナポストの曲がり
      (4)風向風速計、GPSアンテナ用ポストの曲がり(同一ポスト)
      (5)レーダリフレクタの破損
      (6)安全弁上部の歪み発生

  2. 現在の状況
    現場において確認された損傷のうち、補助発電機については、絶縁抵抗復旧処理を行い、 10月3日に再設置しましたが、他の損傷については引き続き復旧対策を検討しておりま す。また、今後の再発防止対策についても検討しております。

  3. 今後の予定
    損傷部を復旧し再発防止対策を施した上で、実験を再開する予定です。