お知らせ
平成12年3月28日
海洋科学技術センター

地球深部探査船の建造契約について


 海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)は、3月27日、「地球深部探査船」の建造契約(船体及びエンジン・発電機等の艤装)を三菱重工業(株)と締結した。なお、本契約の中において、DPS(注1)及びこれに関連するものについては、三井造船(株)を指定して実施させることとした。
 「地球深部探査船」は、大水深掘削に対応する世界最大能力を持つドローワークス(注2)及びライザーパイプ等の取り扱いの自動化等、新技術を採用することにより、全世界での海域における厳しい気象海象条件下での掘削を可能とし、水深約2,500m(将来は約4,000m)の海域において、最終的にはマントルへの到達を可能とする世界最高の科学掘削船である。
 本船の運用により、気候変動や地震などの地球変動メカニズムの解明、未知の地下生物圏やガス・ハイドレートの探索などを行い、地球科学と生命科学の統合的な理解に貢献する。なお、本船は、日本と米国が中心となって国際的に行われる統合国際深海掘削計画(Integrated Ocean  Drilling Program(IODP) )の中核をなすものである。
 本船は、平成2年度より、技術的検討を開始し、平成7年度からの「全体システム」の研究において具体的な基本仕様(船の大きさ、掘削水深等)の検討を進めてきた。
 また、本船の建造に当たっては高度な技術開発を必要とすることから、昨年6月、学識経験者からなる地球深部探査船建造所評価委員会(委員長:奈須紀幸東大名誉教授)において、国内建造所の技術的能力の評価を行い、「唯一ライザー掘削船の設計・建造を基本設計から一貫して行った実績を有し、かつ、最も重要な要素技術であるライザー技術において最も優れている三菱重工業(株)に、探査船の設計・建造及び全体の一元的管理を行わせることが適当」との報告を得た。
 当センターとしては、本報告を踏まえ、同年10月、同社に基本設計を発注し、本年2月終了した。今般、基本設計の成果を踏まえ、上記報告書の結論に沿って建造を進めることが適切として同社と建造契約を締結したものである。
 なお、本船は平成16年度に完工の予定である。

 (注1)DPS(Dynamic Positioning System);掘削中に船の位置を決められた範囲内に保持するシステム
 (注2)ドローワークス;長大なパイプの吊上げ及び吊支えのための巻き上げ機

概略配置図主要機器

   問い合わせ先:海洋科学技術センター 海洋技術研究部 藤田 俊助
                         電話:0468−67−3848
                     総務部普及・広報課 他谷(たや)、小林
                         電話:0468−67−3806