極限環境生物フロンティア研究システム
地殻内微生物研究領域の発足について

平成13年9月28日
海洋科学技術センター

1.概要
 本年10月1日、海洋科学技術センター(理事長 平野拓也)は、極限環境生物フロンティア研究システム(システム長 掘越弘毅)において、地殻内微生物研究領域を発足させ、NASAジェット推進研究所シニア−サイエンティストのKenneth H. Nealson教授を領域長に迎えた。

2.内容
 極限環境生物フロンティア研究システムは、本年4月1日に旧深海環境フロンティアを発展改組して発足している(図1)。同日付けで、深海微生物領域(領域長:辻井 薫)及び深海バイオベンチャーセンター(ベンチャーディレクター:辻井領域長が兼務)がすでに発足している。
 本研究は、平成2年10月に深海環境プログラムとして発足して以来、深海に棲息する微生物を取り上げ、それら微生物の高圧、高温、低温、有機溶媒などの極限環境への適応機構等について研究してきた。それらの研究成果は、平成10年1月に本プロジェクトが主催した極限環境微生物国際会議( International Congress on Extremophiles ’98)における発表や、 Springer Verlag社から発行された単行本(Extremophiles in Deep-Sea Environments)にまとめられている。 
 今回、10月1日に発足する地殻内微生物研究領域研究は、地殻内という深海環境に比べ、さらに過酷な高圧、高温、低水分、貧栄養、低酸素等の極限環境に棲息する、人類が未だ触れたことのない新規な微生物を探索し、その機能の解明及び有用物質生産への応用等を目的とする。
 当面の研究体制は、領域長Kenneth H. Nealson、研究者3名、研究推進スタッフ1名でスタートし平成14年度4月よりさらに研究者を増員してゆく予定。

 地殻内微生物研究領域での当面の研究内容は、
1)他からの微生物汚染のない地殻コアサンプル(柱状試料)の採取方法の確立
2)地殻コアサンプルの微生物汚染評価法の確立
3)地殻コアサンプル中のバイオマッピング(微生物分布)と地球科学的ダイナミズムとの関わり
4)地殻内極限環境微生物及び古代微生物の探索/分離/再生
5)有用微生物及び遺伝子資源の探索及び開発
を予定している。

 

問い合わせ先: 海洋科学技術センター  
         総務部普及・広報課 志村、野澤
           TEL 0468-67-3806
         フロンティア研究推進室 西村、神田
           TEL 0468-67-5664
           FAX(0468)66-5306

別紙1:Kenneth H. Nealson教授の経歴

図1:プロジェクト全体計画

図2:極限環境生物フロンティア研究システムの体制

図3:極限環境生物フロンティア研究システムの研究概要

別紙2:用語