平成18年7月11日
独立行政法人海洋研究開発機構


インドネシア技術評価応用庁との海洋・大気科学技術に関する
研究協力協定の調印について

   日本とインドネシアの間では、平和目的のための科学技術分野の協力関係を促進する目的で1981年に科学技術協力協定が結ばれています。
    この協定を受けて、海洋研究開発機構(理事長 加藤康宏)では、1997年に海洋・大気科学技術分野の研究協力を実施する目的でインドネシア技術評価応用庁(Badan Pengkajian dan Penerapan Teknologi、以下BPPT)*と研究協力協定(MOU : Memorandum of Understanding)を締結し、スマトラ沖大地震に関わる緊急調査研究など多くの研究成果を挙げてきました。
    このたび、協力期間の終了に伴い、新たに5年間の研究協力協定を締結いたしました。今回の協定では、アジアモンスーンの解明に重要な海大陸域の気候力学研究を新たな協力事項に加えました。
    本協定締結の調印は、7月11日に当機構横須賀本部に於いてBPPT長官(Prof. Ir. Said Djauharsyah Jenie)と当機構理事長により行われました。調印式には、インドネシア共和国研究技術大臣(Dr. Kusmayanto Kadiman)も同席されました。
    今後は、本協定に基づきインドネシア側と共同で観測・研究を勢力的に進めて行く予定です。

インドネシア技術評価応用庁(BPPT)は、国家開発のための科学技術の評価、選択及びその導入を図ることを目的として、1978年にインドネシア国営石油会社プルタミナの高度技術部門を核として設立された機関で、重要技術分野の科学技術行政を担当し、自ら研究も実施しています。
お問合せ先:
独立行政法人海洋研究開発機構
(本協定に関して)
経営企画室 国際課 課長  鷲尾 幸久
電話:046-867-9220
(報道に関して)
経営企画室 報道室 室長  大嶋 真司
電話:046-867-9193

(参考)

今回の研究協力協定の詳細

1.これまでの研究協力協定で得られた成果
   研究協力協定の締結以降、両機関による共同研究により多くの成果が得られています。熱帯海洋気候変動研究においては、地球観測フロンティア広域水循環観測研究や20回を越える研究調査航海の実施やトライトンブイの設置を行い、継続した海洋・大気に関わる観測データを取得することにより、エルニーニョ現象に伴う熱帯西部太平洋域での海水の特性の変動が明らかになりました。また、深海研究においては、2002年9月から11月における「しんかい6500」によるスンダ海溝の調査研究や2004年12月に発生したスマトラ沖大地震に関わる緊急調査研究により、インドネシア周辺海域における海底表層及び地下構造を明らかにするとともに、地震発生メカニズムの解明に寄与する数多くのデータを取得しています。

2.今回の協定
    地球気候変動に影響するアジアンモンスーンやエルニーニョ現象に重点をおいた海洋・大気変動研究と地質学・地球物理学及び生物学に関する深海研究の企画と実施を推進することを目的とします。
    本協定を結ぶことにより、当機構が実施するインドネシア排他的経済水域(EEZ)内での観測ブイの設置・船舶による調査・観測活動や陸域内の観測機器設置に必要なインドネシア政府の許可の取得手続きが容易になるという利点があります。また、観測ブイの故障や流出によって緊急処置が必要な場合で当機構の船舶を急行させることが困難な場合には、インドネシア船舶の使用に便宜を得る事ができます。 また、BPPTにおいては、研究上必要でありながら、技術的問題や経費の都合により取得出来ない大量の観測データの取得、観測技術の移転および最先端の観測技術に関する情報を取得することができます。
    その他、一方が主催した会議、セミナー、ワークショップ、シンポジウムへ参加し、両機関の研究者が交流を図ること、一方の施設や設備(研究船を含む)が利用できる機会を提供することも予定しています。