2011年 4月 12日
独立行政法人海洋研究開発機構
この度、統合国際深海掘削計画(IODP: Integrated Ocean Drilling Program)(※)の一環として、「超高速拡大海嶺で形成された海洋プレート下部地殻掘削」(別紙参照)を実施するため、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号の研究航海が4月13日から開始されます。
本研究航海では、中米コスタリカ沖東太平洋において、海洋プレートの構造を解明するとともに、海洋プレートと海水との反応過程を解明することを目的としています。日本から8名が乗船するほか、米国、欧州、韓国、豪州、インドからも含め、計28名が乗船研究者として参加する予定です。
※1 統合国際深海掘削計画(IODP:Integrated Ocean Drilling Program)
日・米が主導国となり、平成15年(2003年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。現在、欧州、中国、韓国、豪州、インド、ニュージーランドの24ヶ国が参加。日本が建造・運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を行う。
別紙1
超高速拡大海嶺で形成された海洋プレート下部地殻掘削
1.日程(現地時間)
なお、準備や調査の進捗状況等によって変更の場合があります。
2.日本から参加する研究者
氏名 | 所属/役職 | 乗船中の役割(担当分野) |
---|---|---|
足立 佳子 | 新潟大学/助教 | 火成岩岩石学 |
阿部 なつ江 | 海洋研究開発機構/研究員 | 火成岩岩石学 |
安間 了 | 筑波大学/講師 | 構造地質学 |
遠藤 大介 | 筑波大学/大学院生(博士課程) | 構造地質学 |
大泉 涼 | 山形大学/大学院生(修士課程) | 火成岩岩石学 |
宮下 純夫 | 新潟大学/教授 | 火成岩岩石学 |
Betchaida Dutes Payot | 金沢大学/ポスドク研究員 | 火成岩岩石学 |
Python Marie | 北海道大学/特任助教 | 火成岩岩石学 |
3.研究の概要
本航海では、中米コスタリカ沖東太平洋において、海洋プレートの構造や海水との反応過程を解明するため、海洋下部地殻を掘削し、(1)海洋地殻形成モデルの検証、(2)海洋地殻形成プロセスの違いによる温度構造と熱水活動パターンの検証、(3)海洋上部地殻と海洋下部地殻境界層の地質学的特徴、(4)海洋下部地殻の海底縞状磁気異常に対する影響等について研究を行います。
また今回の掘削地点(図1)は、今後計画される予定の地球深部探査船「ちきゅう」によるマントル掘削(モホール計画)の掘削候補地点の一つでもあり(図2)、マントルまでの超深度掘削に先立ち、本航海での掘削により海洋地殻に関する知見を深めることも目的の一つです。
4.掘削の概要
今回の掘削地点(1256D)では、2002年と2005年に3回の掘削航海(ODP 第206次航海、IODP 第309および312次航海)が実施されました。その結果、海洋上部地殻と海洋下部地殻の境界を貫通する海底下1,506 mまでの掘削に成功しています(図3)。本航海では、掘削地点(1256D)をさらに200 m以上掘削し、海洋下部地殻を構成するはんれい岩の試料採取を行い、掘削後に孔内検層を実施します。