トップページ > プレスリリース > 詳細

プレスリリース

2013年 9月 5日
独立行政法人海洋研究開発機構

「地震・津波観測監視システム(DONET)」により得られる観測情報の利活用に関する和歌山県との協定締結について

1.概要

このたび、独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦、以下「JAMSTEC」)は和歌山県(知事 仁坂 吉伸)との間で、JAMSTECが管理・運用する「地震・津波観測監視システム(DONET)」()(以下「DONET」)により得られる観測情報の利活用に関する協定を締結しました。

この協定は、JAMSTECが東南海地震及び南海地震を対象としたリアルタイム観測システムの構築と地震発生メカニズムの解明等を目的に開発した海底ケーブルネットワーク型の観測システムであるDONETにより得られる観測情報の社会実装の可能性を探るパイロットプロジェクトとして、和歌山県がその観測情報を受け、防災・減災を目的として当該情報の利活用を行うことについて、必要な基本的事項を定めたものです。JAMSTECがこの種の目的で地方自治体と取り交わす初の協定となります。

今回の協定締結を契機に、今後、DONETにより得られる観測情報の利活用が進展することが期待されます。

2.協定の主な内容

この協定では、協定の目的のほか、以下に示す双方の役割分担等について定めています。

<役割分担>

(1)JAMSTECと和歌山県は、防災・減災に向けた取り組みに関して、以下の事項を連携して行う。
  • 連絡・調整体制の確立
  • 観測情報を用いた防災・減災に向けた取り組みに関する必要な調査及び研究
  • 住民への啓発活動及び広報活動
(2)JAMSTECは、JAMSTECの目的及び業務の範囲内において、次に掲げる事項を行う。
  • JAMSTECの陸上局舎からの観測情報の和歌山県への提供
  • 観測情報を用いた地震波及び津波の陸上到達予測の高度化等に関する研究
  • 和歌山県が防災・減災対策業務として利用するシステムに関する技術的助言等
  • 和歌山県が実施する観測情報を用いた配信試験及び訓練用のデータの提供
  • 和歌山県が実施する防災・減災対策業務における観測情報の利活用手段の検討、運用及びその訓練に対する技術的助言等
(3)和歌山県は、次に掲げる事項を行う。
  • JAMSTECの陸上局舎への回線設置及び当該回線の運用
  • JAMSTECの研究成果を用いた各種データの利活用に関するシステム開発
  • JAMSTECの研究に必要となる情報の提供
  • 観測情報を用いた防災・減災対策業務の運用
  • 観測情報を用いた試験及び訓練

3.協定締結日

平成25年9月5日

4.今後の展開

今回の協定締結は、JAMSTECが管理・運用するDONETにより得られる観測情報の社会実装の可能性を探るパイロットプロジェクトを推進するためのものであり、JAMSTECはこのプロジェクトによる成果等も活用してDONETにより得られる観測情報の幅広い活用を目指す予定です。また、和歌山県は、当該パイロットプロジェクトを通じて、防災・減災対策業務の充実を図るとともに、プロジェクトによる知見等の提供に協力する予定です。

※「地震・津波観測監視システム(DONET:ドゥネット)」

三重県尾鷲市古江町の陸上局から、紀伊半島の沖合約125km先まで、総延長約250kmに渡る基幹ケーブルをループ状に敷設し、途中5箇所の拡張用分岐装置に、それぞれ4つの観測点が接続された稠密な地震・津波観測システム。各観測点は、地震計や津波を検知する水圧計等で構成された観測装置ユニットで、水深約1,900mから4,300mの深海底に設置されている。(現在、四国沖に同様のシステムを構築中。)

観測装置には海底ケーブルを介して陸上から電力が供給され、観測装置からは海底の地震動、水圧変動等のデータがケーブル内の光ファイバーを通じてリアルタイムで陸上局へ送られており、従来の観測システムではなし得なかった深海底における多点同時かつリアルタイムの観測を行っている。

観測装置からのリアルタイムデータは、陸上局から専用回線を通じて海洋研究開発機構横浜研究所や防災科学技術研究所、気象庁に配信されている。

図1
図1 DONETの設置場所(四国沖のDONET2は、現在構築中)

お問い合わせ先:

独立行政法人海洋研究開発機構
(本内容について)
地震津波・防災研究プロジェクト
研究企画グループ グループリーダー 千葉 俊彦 電話:045-778-5730
(報道担当)
経営企画部 報道室長 菊地 一成 電話:046-867-9198