2013年 10月 10日
独立行政法人海洋研究開発機構
1.概要
このたび、独立行政法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦、以下「JAMSTEC」)は、三重県尾鷲市(市長 岩田 昭人)及び中部電力株式会社(代表取締役社長 水野 明久)との間で、JAMSTECが管理・運用する「地震・津波観測監視システム(DONET)」(※)(以下「DONET」)により得られる観測情報の活用に関する協定を締結しました。
この協定は、JAMSTECが東南海地震及び南海地震を対象としたリアルタイム観測システムの構築と地震発生メカニズムの解明等を目的に開発した海底ケーブルネットワーク型の観測システムであるDONETにより得られる観測情報の社会実装の可能性を探るパイロットプロジェクトとして締結したものです。
具体的には、この協定は、三重県尾鷲市古江町にあるDONET陸上局から複数のルートを介して、尾鷲市危機管理室及び中部電力株式会社がその観測情報を受け、地震・津波災害対策に当該情報を活用する共同研究について定め、三重県尾鷲市は地域住民の早期避難誘導への活用、中部電力株式会社は管内の発電所をはじめとした電力設備の安全対策を念頭にしています。JAMSTECがこの種の目的で自治体及び民間企業と連携して取り交わす初の協定となります。
JAMSTECはこのプロジェクトによる成果等も活用して、他の自治体や企業等とも連携を進め、DONETにより得られる観測情報の幅広い活用を目指す予定です。
2.期待される効果(地震・津波情報の早期検知の可能性)
DONETにより得られる観測情報を適切に活用出来れば、陸上の観測点と比べ地震・津波情報を早期に検知出来る可能性があります。三重県尾鷲市及び中部電力株式会社管内への影響でみた場合、地震波をいち早く捉えることが出来る可能性があるほか、津波についても事前に多くの津波シミュレーションを準備しておくことにより短時間での影響評価を行うことが可能となり、実際に津波が到達するまでの間の迅速な防災・減災対策の実施に役立ちます。
3.協定の主な内容
この協定では、以下に示す事項などについて定めています。
<目的>
<取り組みの内容>
<DONET活用連絡会>
4.協定締結日
平成25年10月10日
※「地震・津波観測監視システム(DONET:ドゥネット)」
三重県尾鷲市古江町の陸上局から、紀伊半島の沖合約125km先まで、総延長約250kmに渡る基幹ケーブルをループ状に敷設し、途中5箇所の拡張用分岐装置に、それぞれ4つの観測点が接続された稠密な地震・津波観測システム。各観測点は、地震計や津波を検知する水圧計等で構成された観測装置ユニットで、水深約1,900mから4,300mの深海底に設置されている。(現在、四国沖に同様のシステムを構築中。)
観測装置には海底ケーブルを介して陸上から電力が供給され、観測装置からは海底の地震動、水圧変動等のデータがケーブル内の光ファイバーを通じてリアルタイムで陸上局へ送られており、従来の観測システムではなし得なかった深海底における多点同時かつリアルタイムの観測を行っている。
観測装置からのリアルタイムデータは、陸上局から専用回線を通じて海洋研究開発機構横浜研究所や防災科学技術研究所、気象庁に配信されている。