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プレスリリース

2016年 11月 11日
国立研究開発法人海洋研究開発機構

地球深部探査船「ちきゅう」による
「沖縄トラフ熱水性堆積物掘削Ⅲ」の実施について

国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 平 朝彦、以下「JAMSTEC」という)は、戦略的イノベーション創造プログラム(※1 SIP)の課題「次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)」における「海洋資源の成因に関する科学的研究」の一環として、地球深部探査船「ちきゅう」による沖縄海域での科学掘削調査「沖縄トラフ熱水性堆積物掘削Ⅲ」を実施します。

1.航海日程

・期間:
平成28年11月16日 高知県高知新港出港
平成28年12月15日 静岡県清水港入港、研究航海完了(全30日間)
なお、気象条件や調査の進捗状況によって変更する場合があります。
・掘削海域:
沖縄トラフ伊是名海穴(図1

2.乗船研究チーム

共同首席研究者(以下の3名)

熊谷 英憲(JAMSTEC次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム成因研究ユニット)
野崎 達生(JAMSTEC次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム成因研究ユニット)
石橋 純一郎(九州大学大学院理学研究院准教授)
他、JAMSTEC海底資源研究開発センター・次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム及び「次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)」に参画する国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立研究開発法人国立環境研究所、九州大学に組織された研究チームを中心としたメンバーで構成

3.航海の概要

これまで本課題において沖縄トラフで実施した「ちきゅう」航海では、岩相・構成鉱物・化学組成・物性などの把握に必要な岩石のコア試料や掘削同時検層による物理パラメーターの取得が行われてきました。また、これらの情報を電気・電磁探査に基づく海底下比抵抗分布と合わせることにより、海底熱水鉱床の成因モデルの構築を進めてきました。

そこで、本調査航海は、既存情報が存在し、潜頭性熱水鉱床(※2)の探査指針の確立に適したフィールドである沖縄トラフ伊是名海穴における掘削調査を実施します。そして、本航海で得られるコア試料及び物理パラメーターを、電気・電磁探査の調査結果等と比較することによって、潜頭性熱水鉱床の成因モデル構築及び探査手法の確立を図ります。

また、前回航海(沖縄トラフ熱水性堆積物掘削Ⅱ、2016年3月18日既報)による伊平屋小海嶺南麓野甫サイトの掘削後に、盛んな熱水噴出が認められたことから、鉱石沈殿プロセスや熱水の基礎物性パラメーターの長期計測を目的としたモニタリング装置を掘削孔に設置する作業も実施します。

4.研究の背景・目的

日本近海で大規模な海底熱水鉱床が存在する可能性の高い海域として、沖縄海域・伊豆-小笠原海域等が知られています。これらの海域には潜頭性熱水鉱床も存在している可能性があります。しかしながら潜頭性熱水鉱床については詳細な分布が明らかになっていないだけでなく、確立された探査技術も存在していません。また、沖縄海域・伊豆-小笠原海域等に限っても、その海域面積は広大であることから、調査の効率化に向けて、海底熱水鉱床の科学的成因を明らかにし、有望海域の絞り込みに有効な観測項目を特定する必要があります。

このような中、平成26年度より当機構が管理法人を務める戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)「次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)」では、民間企業が活用できる海洋資源調査手法の開発に向けて、海底鉱物資源の生成機構を体系的に説明可能な「成因モデル」の構築、及び海底資源調査に有効な探査手法の開発を進めています。SIP次世代海洋資源調査技術では、これまで地球深部探査船「ちきゅう」による科学掘削調査等を実施し、沖縄トラフ周辺域の熱水活動を集中的に調査してきました。これらの調査の結果、同海域にある複数の熱水噴出域で海底下熱水溜まりが広大な広がりを形成している可能性が示唆され(2014年3月4日2014年7月26日2016年3月18日既報)、その後の研究により海底下熱水溜まり及びその周辺で鉱体の形成が進行しつつある様子が示唆されました。

今回の調査では、これらの知見を基に構築されつつある「成因モデル」の構築に向けて、「ちきゅう」科学掘削により伊是名海穴における既存の物理探査結果と比較検証します。

そして、これらの成果をもとに、潜頭性熱水鉱床の効率的な調査に必要なセンサー類、探査手法の精緻化へ貢献していくことが期待されます。

※1 戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)が自らの司令塔機能を発揮して、府省の枠や旧来の分野の枠を超えたマネジメントに主導的な役割を果たすことを通じて、科学技術イノベーションを実現するために平成26年度より5カ年の計画で新たに創設したプログラム。CSTIにより選定された11課題のうち、「次世代海洋資源調査技術(海のジパング計画)」(プログラムディレクター 浦辺 徹郎、東京大学名誉教授、国際資源開発研修センター顧問)ではJAMSTECが管理法人を務めており、海洋資源の成因に関する科学的研究、海洋資源調査技術の開発、生態系の実態調査と長期監視技術の開発を実施し、民間企業へ技術移転する計画となっている。

※2 潜頭性熱水鉱床
熱水活動を過去に終了して堆積物に覆われ、現在は海底面上に露出していない鉱床。

図1
図1. 中部沖縄トラフの海底地形図
伊是名海穴(図中A)では「ちきゅう」による科学掘削を実施、
伊平屋小海嶺南麓(図中B)では成因モニタリング装置の設置を行います。
国立研究開発法人海洋研究開発機構
(本内容について)
次世代海洋資源調査技術研究開発プロジェクトチーム 企画調整ユニット ユニットリーダー
菊田 宏之
(「ちきゅう」について)
地球深部探査センター 企画調整室長
花田 晶公
(報道担当)
広報部 報道課長 野口 剛
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