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プレスリリース

2017年 7月 25日
国立研究開発法人海洋研究開発機構

国際深海科学掘削計画(IODP)第371次研究航海の開始について
~5千万年前に起こったプレートの沈み込み開始と急激な温暖化の関係を探る~

この度、国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)(※1)の一環として、「タスマン海域における沈み込みの開始と古第三紀の古気候変動」(別紙参照)を実施するため、米国が提供するジョイデス・レゾリューション号(※2)の研究航海が7月27日から開始されます。

研究航海では、タスマン海、ロードハウライズ、ニューカレドニアトラフ、ニュージーランド北島沖(図1)を掘削し、約5千万年前以降の堆積岩を採取・解析することで、トンガ-ケルマデック海溝で約5千万年前に開始した沈み込みに伴う地質現象の解明と、温暖期であった当時の気候変動と沈み込み開始事変との関連を明らかにすることを目的としています。

この研究航海には日本から3名が参加するほか、米国、欧州、ニュージーランド、中国、韓国、ブラジルから計26名の研究者が参加する予定です。

※1 国際深海科学掘削計画(IODP: International Ocean Discovery Program)

平成25年(2013年)10月から始動した多国間国際協力プロジェクト。日本が運航する地球深部探査船「ちきゅう」と、米国が運航する掘削船ジョイデス・レゾリューション号を主力掘削船とし、欧州が提供する特定任務掘削船を加えた複数の掘削船を用いて深海底を掘削することにより、地球環境変動、地球内部構造、地殻内生命圏等の解明を目的とした研究を推進する。平成15年(2003年)10月から平成25年まで実施された統合国際深海掘削計画(IODP:Integrated Ocean Drilling Program)の後継にあたるプロジェクト。

※2 ジョイデス・レゾリューション号(右写真)

IODPの掘削に米国が提供するノンライザー掘削船。日本が提供する地球深部探査船「ちきゅう」と比べて浅部の掘削を多数行う役割を担う。

別紙

タスマン海域における沈み込みの開始と古第三紀の古気候変動
“Tasman Frontier Subduction Initiation and Paleogene Climate”

1.日程(現地時間)

  第371次研究航海

平成29年7月27日
研究航海開始(首席研究者が乗船)
平成29年7月28日
日本からの研究者がオーストラリアのタウンズビルにて乗船(数日の準備の後出港)
タスマン海、ロードハウライズ、ニューカレドニアトラフ、ニュージーランド北島沖において掘削
平成29年9月26日
オーストラリアのホバートに入港

なお、航海準備状況、気象条件や調査の進捗状況等によって変更の場合があります。

2.日本から参加する研究者(氏名50音順)

氏名 所属/役職 担当研究分野
斎藤 実篤 海洋研究開発機構/
グループリーダー
岩石物理学(孔内計測、物性計測)
松井 浩紀 東北大学/大学院生(博士課程) 微古生物学(有孔虫)
Huai-Hsuan May Huang 東京大学/研究実習生 微古生物学(貝形虫)

3.研究の背景・目的

プレートは、海嶺(※3)で生まれ、海溝から地球内部へと沈み込みます。約5千万年前、太平洋プレートの運動方向が変化することにより新たなプレートの沈み込みが始まったことが知られており、北半球の伊豆-小笠原-マリアナ海溝と南半球のトンガ-ケルマデック海溝は、このとき形成されたと考えられていますが、なぜ、どのようにして沈み込みが開始したのか、沈み込み開始時に何が起こったのか、具体的なプロセスは明らかにされていません。

本航海は、トンガ-ケルマデック海溝での沈み込み開始現象を解明するため、タスマン海域(タスマン海、ロードハウライズ、ニューカレドニアトラフ、ニュージーランド北島沖)で6地点の掘削を行います。掘削によって回収される堆積岩の各種解析により、沈み込み開始に伴って進行する地殻の変形や隆起・沈降作用を復元し、この地域に起こった変動過程とその原因を明らかにします。また約5千万年前の温暖期に、本海域は顕著に温暖化したことが知られており、当時の急激な気候変動の詳細を堆積物や化石情報から復元し、トンガ-ケルマデック海溝での沈み込み開始に伴う海洋循環の変化が気候変動とどのように関連しているのか明らかにすることも目的としています。

図1
図1 本研究航海の掘削サイトの位置

(なお、航海準備状況、気象条件や調査の進捗状況等によって掘削サイトを変更する場合があります。)

表1 本研究航海の掘削サイトの一覧(掘削順)

サイト名 水深 目標掘削深度 掘削作業予定日数
LHRN-3A 1,505m 320m 2.0
NCTN-8A 3,584m 700m 12.1
REIS-2A 1,581m 900m 8.1
NCTS-2A 2,924m 610m 9.7
LHRS-3A 1,250m 620m 6.5
TASS-2A 4,858m 960m 7.1

※3 プレート同士が両側に引っ張られて離れていく境目(発散型境界)にできる海底山脈。広がる裂け目を埋めるように下からマントルが上昇し、新しいプレートを作っている。

海嶺、海溝、プレートの動きなどに関するより詳しい説明は以下を参照
プレートテクトニクスの基礎1:海洋リソスフェアの生成と破壊(jamstecchannel動画)
https://youtu.be/zfrz--4dwGc

図1は下記より引用したものを改変

IODPウェブサイト
http://iodp.tamu.edu/scienceops/expeditions/tasman_frontier_subduction_climate.html
参考:IODP Copyright Statementt
http://iodp.tamu.edu/about/copyright.html
国立研究開発法人海洋研究開発機構
(IODP及び本航海の科学計画について)
研究推進部 研究推進第1課 高橋 可江
(報道担当)
広報部 報道課長 野口 剛
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