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プレスリリース

2021年 6月 14日
国立大学法人北海道大学
国立研究開発法人海洋研究開発機構

南極大陸に向かって海流が接近中
~南極海の深層が暖まるメカニズムを発見~

北海道大学大学院環境科学院博士後期課程の山崎開平氏と、同低温科学研究所の青木 茂准教授、平野大輔助教(当時。現所属:国立極地研究所)、中山佳洋助教、海洋研究開発機構の勝又勝郎主任研究員らの研究グループは、地球上で最大の海流である「南極周極流」が、南極大陸に向かって拡大することで、南極海の深層が暖まっていることを発見しました。

この研究では、東南極沖を対象とし、海洋現場観測データの時空間解析と数値シミュレーションを組み合わせて解析することで、南極周極流の「南限」が、過去30年間に50km以上南下したことを突き止めました。さらに、海の力学的な分厚さを調べることによって、海洋前線の南下と南北深層循環の強化が、南限の移動を引き起こしていることがわかりました。今回発見された南極周極流の極向き拡大は、海洋の持つ熱が南極氷床へ近づきつつあることを示しています。地球温暖化などによって南極海に吹き付ける偏西風が強くなったことが、その原因である可能性があります。南極海の深層水は南極沿岸付近では最も暖かい水で、南極の氷を融かす主な熱源であると考えられます。暖かい深層水が氷床に向かって流れ込めば、より多くの融け水が海に放出されることで、海面上昇と気候システムに影響することが懸念されます。

本研究は水産庁「開洋丸」による観測航海で取得されたデータを使用しており、科学研究費補助金(課題番号 17H01615、 17H06317、 19K23447、 21H04918、 21K13989)の助成を受けて実施されました。

なお、本研究成果は、 2021年6月11日(金)のScience Advances誌にオンライン掲載されました。

詳細は北海道大学のサイトをご覧下さい。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 広報課
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