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プレスリリース

2021年 11月 25日
国立大学法人東京大学
国立研究開発法人海洋研究開発機構

海洋表層の鉛直混合がインド洋ダイポールモード現象に与える影響を解明

インド洋熱帯域で発生するインド洋ダイポールモード現象(IOD)は、インド洋沿岸諸国に加え我が国を含む地球全体の気候に大きな影響をもたらすことが知られています。正のIODが発生すると、インド洋熱帯域の海面水温が、東部では平年よりも低く、西部で高くなる一方、負のIODが発生すると、海面水温は逆に東部で平年よりも高く、西部で低くなります。これまでの研究によって、正のIODに伴う海面水温変動は負のIODに伴うものに比べて大きな振幅を持つことが指摘されていますが、その原因については、完全な理解には至っていませんでした。

東京大学大学院理学系研究科の東塚知己准教授、中里舞(研究当時:修士課程大学院生)と海洋研究開発機構の木戸晶一郎ポストドクトラル研究員は、領域海洋モデルを用いた現実的なシミュレーションを通じて、正と負のIODの強さが異なる原因を特定することに成功しました。海面水温偏差が特に顕著な東部のインドネシア沖において、海洋表層の正確な熱収支を調べることにより、先行研究で指摘されていた東西方向の熱輸送に加えて、鉛直方向の混合過程が正と負のIODの振幅の違いをもたらす上で重要な役割を果たしていることを初めて明らかにしました。

IODは日本にも異常気象をもたらすことが知られていますが、その予測精度は未だ十分とは言えず、多くの課題が残されています。本成果によって得られたIODのメカニズムに関する物理的な知見は、数ヶ月先の異常気象予測の改善にも貢献することが期待できます。

詳細は東京大学のサイトをご覧下さい。

国立研究開発法人海洋研究開発機構
海洋科学技術戦略部 報道室
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