キーワード 「300℃でも沸騰しない水の謎」

「ちきゅう」が掘削調査した沖縄トラフ伊平屋北の深海底から噴出する熱水の温度はなんと300度を超えます。100気圧にもなる深海の圧力のため、水は100度を超えても沸騰しないのです。海底下の火山マグマで熱せられた海水が銅や鉄などの金属を溶かしながら黒い煙のようなブラックスモーカーが噴き出しています。硫化物が多量に含まれるため人にとっては猛毒。この高圧高温の極限環境に生きるゴエモンコシオリエビやスケーリーフットなど、微生物と共生する深海生物が世界各地の熱水噴出域で発見されています。これら微生物は硫化水素やメタンなど地球内部からの物質を生命維持エネルギーとしていて、原始地球に近い極めて過酷な環境から多く発見されています。「ちきゅう」のドリルなど掘削システムもこの高温と硫化水素に苦しめられました。

噴き出す熱水の様子など「ちきゅうTV」でお届け中!