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海岸の岩場では、潮が引くとくぼみに海水がたまった「潮だまり」があちこちに出現します。
潮だまりをのぞくと、イソギンチャクやヒトデ、カニ、小魚などさまざまな生き物に出会うことができます。
でも今回は、彼らからちょっと目を移して、水面に顔を近づけて注意深くじっとのぞいてみてください。そこにすんでいる、小さな小さな生物の世界が広がっているのが見えてくるでしょう。
この小さな生き物たちが、今回の主役です。

シオダマリミジンコとは?

シオダマリミジンコとは、磯の潮だまりにすむ、長さ1mmほどの動物プランクトンです。赤い色をしているので、潮だまりのなかをしばらく観察すると、泳いでいるのが分かります。シオダマリミジンコは、海に8,000種以上いるカイアシ類の仲間で日本中に分布しますが、実に驚くべき環境適応能力・繁殖力を備えています。

潮だまりの環境を考えてみましょう。太陽の照り付ける真夏の潮だまりは、お湯のようになり、また蒸発によって塩分も濃くなっています。逆に、長雨が続くときは、海水は薄められて淡水に近い塩分になってしまいます。シオダマリミジンコは、そのような環境変化をものともせずに生活して、世代交代をしてしまいます。驚異的な生命力を持つシオダマリミジンコは誰でも簡単に飼育できるので、ぜひ持ち帰って飼育してみましょう。

シオダマリミジンコを採取する

採取ポイントは、満潮線(最も潮が満ちたときの海水面)よりさらに高い位置にある潮だまりです。そこにいる赤い点のようなプランクトンは、ほぼ間違いなくシオダマリミジンコと考えてよいでしょう。シオダマリミジンコを見つけたら、ペットボトルの ような容器を用意して、海水ごと採取します。

シオダマリミジンコを観察する

ルーペや顕微鏡を使って、シオダマリミジンコを観察してみましょう。成体のシオダマリミジンコは活発に水中を動き回るので、海水中にグリセリン(薬局で入手可)を少量混ぜて海水の粘性を高めると動きが鈍くなり、観察しやすくなります。プランクトンを観察する際には、ぜひスケッチを取ってみてください。スケッチをすることで、細かい部分にまで注意を払うため、形態の特徴を正確にとらえることができるようになります。

注意!

岩場は滑りやすく、大きな波が突然来たり、毒を持った生物がいることもあります。十分に注意しましょう。

シオダマリミジンコを飼育する

海から持ち帰ったペットボトルをそのまま光の当たる明るい場所に置いておくだけです。多くの海水を使うと、長く飼育 できます。餌は数ヵ月に一度くらい、生の米などを1、2粒入れるだけで十分です。水換えの必要はなく、蒸発して減った分だけ水を足してください。

シオダマリミジンコの1世代は10日から数十日。2匹がつながって泳いでいる姿を見つけたら、それは交尾前です。卵からふ化すると、脱皮をして変態を繰り返して成体になります。脱皮をするたびに、かたちが変わっていきます。どのくらいの期間で成体になるか、観察してみても面白いでしょう。

飼育環境を変えてみる

シオダマリミジンコに弱点はないのでしょうか? 彼らにとって快適な環境とそうでない環境は、繁殖するかしないかで見極めることができます。その条件とは? 塩分や水温、餌の種類などを変えて比較実験をしてみましょう。

実は、シオダマリミジンコは生命科学の分野で最近注目されている生物です。遺伝子を詳しく調べ、過酷な環境に適応する仕組みを探るための研究が日々盛んに行われています。

取材協力:
木元克典 地球環境観測研究センター
地球温暖化情報観測研究プログラム 技術研究主任

乾燥卵からプランクトンを育てる

海に行く予定がない人に、お薦めのプランクトンがいます。ブラインシュリンプ、シーモンキーなどと呼ばれている、鰓脚(さいきゃく)類のアルテミアです。アルテミアは、塩湖に生息し、乾燥に耐えて長期間休眠できる卵を産みます。その乾燥卵が、熱帯魚ショップなどで売られています。

・ふ化させる

乾燥卵を塩水に入れると、1 日ほどでふ化します。体長は約1mmです。

・飼育する

容器のふたは開け、日光がときどき当たる明るい場所に置きます。水換えは不要で、蒸発して減った分だけ水を足してください。飼育する塩水に、米のとぎ汁を数滴加えると、その後の成長がいいようです。
餌は特に与えなくてもかまいません。

・観察する

アルテミアは脱皮をして変態を繰り返すので、その様子を観察しましょう。1~2ヵ月で8~15mm になります。アルテミアがつがいをつくると、雄と雌が前後につながって泳ぐようになります。うまくいけば産卵し、ふ化するところを観察できるでしょう。

▲アルテミアの成体。

JAMSTEC 横須賀本部の一般公開では、小さなプランクトンの飼育と観察を通して生命の不思議や面白さ、尊さを学んでもらうために、ふ化したばかりのアルテミアや乾燥卵を配布して大人気でした。持ち帰った方の飼育結果報告もお待ちしています。

海と地球の情報誌「Blue Earth」 2008年7-8月号より抜粋>