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海水は数千年をかけて世界中の海を巡っています。これは「深層循環」と呼ばれ、表層だけでなく 深層にまで及びます。深層循環の原動力は、海水の温度と塩分濃度です。海水の密度は、水温が低いほど、 また塩分濃度が高いほど大きくなります。高緯度の冷たい風で冷やされて重くなった海水は、対流によって 深く沈み込んでいきます。地球上で沈み込みが起きる場所は2ヵ所、南極の周りとグリーンランドだけです。 もし、深層循環が弱まったり、止まったりしたら、どうなるでしょうか。 深層循環は大量の熱を運んでいるので、気候が激しく変動すると考えられています。地球の気候変動を 考える上で、とても重要な深層循環。海水の沈み込みがどのようにして起きるのか、実験で見てみましょう。

用意するもの

  • お湯
  • インク
  • 水槽
  • コップ
  • アルミ空き缶1個
  • 油こし紙
  • 取っ手の付いたざる
  • 針金

海をつくる

海洋の表層は太陽によって暖められます。水槽のなかに、下が常温で上が暖かい、2層の海をつくります。

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水槽に水道水(常温)を入れます。
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コップにお湯を入れ、インクで色を付けます。温度の違いが区別できるようにするためです。
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油こし紙を入れたざるを使い、常温の水の上部に色 を付けたお湯をゆっくり注ぎます。
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海の完成

南極をつくる

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上ぶたを切り取ったアルミ缶のなかに、重さの比が3:1になるように氷と塩を入れ、軽くかき混ぜます。

氷が融けるときに周囲から融解熱が奪われ、また融けた水に塩が溶けるときに周囲から溶解熱が奪われ、-20℃近くまで冷や すことができます。

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冷却器(氷が入ったアルミ缶)で、水槽の水(片側の上部)を冷やします。アルミ缶の底が色を付けていない常温の層に届くぐ らいの高さに、針金を使ってアルミ缶を固定します。

沈み込みを観察する

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色を付けた上部の暖かい水が、冷却器によって冷やされて重くなり、水槽の底まで沈み込みます。
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沈み込んだ水は水槽の底を広がっていきます。

実際の海は・・・・・・

太平洋を南北に縦断する水温断面図です。観測船で測線に沿って航海しながら、たくさんの観測点で海面から海底までの水温を計測した結果を示しています。南極の周りで冷やされた海水が沈み込み、太平洋の底層を北上している様子が分かります(矢印)。

これは失敗?
・沈み込みが起きない

冷やし方が足りないと、水槽の底まで沈み込めずに、水槽の上部で対流する場合があります。これは、南極 周辺やグリーンランド沖の気温が上昇し、海水が冷やされなくなったのと同じような状態です。深層循環は止まってしまいます。

・色を付けた水が垂れていく

インクの量が多かったり、長い時間がたつと、エノキダケのようなものが見える場合があります。「ソルト フィンガー」と呼ばれる対流現象で、実際の海洋でも温度の違いと塩分濃度の違いにより見られる現象です。

注意!

・やけどに注意しましょう。

・缶の切り口でけがをしないように注意しましょう。

・塩やインクを使っているので、実験が終わったら器具をよく洗いましょう。

海と地球の情報誌「Blue Earth」 2008年7-8月号より抜粋>