「海中で電波は使えない」という説明を聞いたことがあるでしょう。
『Blue Earth』2008年3-4月号でも、こんな文章があります。「……陸上や海上で遠くまで届く電波も、海のなかでは、一気に弱くなってしまうからです。……また、使う周波数が高くなる(波長が短くなる)と急激に信号が弱くなってしまうのも、海中電波の特徴です」
それを実験で確かめてみましょう。
用意するもの
- AM・FM放送が受信できる携帯ラジオ
- 水槽(海で実験してもOK!)
- 塩水(水1リットルにつき食塩35gで海水に近い状態になります)
- 防水袋または密閉性の高い容器

AMラジオ放送は受信できる?
- 1
- AMラジオ放送を受信した状態で、防水袋にラジオを入れます。
- 2
- 塩水を入れた水槽のなかにラジオを入れます。
- 3
- 水のなかに入れても音が聞こえ続けます。写真では、受信中を示す緑のライトが点灯していることが分かるでしょう。

FMラジオ放送は受信できる?
- 1
- FMラジオ放送を受信した状態で、防水袋にラジオを入れます。
- 2
- 塩水を入れた水槽のなかにラジオを入れます。
- 3
- 水のなかに入れると音が聞こえなくなります。写真では受信中を示す赤のライトが消灯しています。※
- 応用!
- 食塩を入れずに水道水で実験してみましょう。放送は受信できるでしょうか。
- ※
- 放送局の電波塔などが近くにある場所では電波の出力が高いため、受信できることがあります。

携帯電話は海中で使える?
AM放送(522〜1,629kHz)は水中でも受信できましたが、FM放送(76.0〜90.0MHz)は受信できませんでした。これは、周波数が高いほど放送の信号が弱くなるからです。
では、携帯電話(またはワンセグ放送)は海中でも受信できるでしょうか? 携帯電話の周波数は、最大2,000MHzくらいです。逆に周波数の低い電波時計はどうでしょうか。
吸収減衰(dB/m)とは電波や音波が1m進む間に弱くなる度合い(相対値)。dB(デシベル)は比較の単位。1MHzのAMラジオでは31dB/m(1m進むと38分の1)しか弱くなりませんが、80MHzのFMラジオでは102.2dB/m(1m進むと8400万分の1)も弱くなります。電波は、周波数が高いほど減衰がとても大きくなるのです。また、1MHzの音波と電波を比べると、電波では31dB/m(1m進むと38分の1)弱くなりますが、音波ではわずか0.32dB/m(1m進むと1.04分の1)しか弱くなりません。海底地形図の作成や潜水調査船との無線通信などには、減衰が大きい電波に代えて、音波を使っています。また、このグラフから、私たちの目に見える光、可視光は、水中であまり減衰しないことも分かります
注意!
ラジオなどが水にぬれないように、完全に密閉しましょう。
