知ろう!記者に発表した最新研究

2009年9月3日発表
地球深部探査船「ちきゅう」の研究航海の報告!
(航海期間:2009年5月-8月)

地球深部探査船「ちきゅう」の研究航海の結果のお知らせです!今回は、今年(2009年)5月から8月にかけて行われた研究航海についてです。

この航海中に「ちきゅう」は和歌山県紀伊半島沖の海の底をり進め、地層のサンプル(コア)を58mもとったりするなど、たくさんの地球内部のデータをとりました。また、将来あなの中に計測機器を置くための準備も行いました。今後は、今回のデータをくわしく調べて地震じしんのメカニズムをさらに明らかにしていく予定です。

どこを掘ったの? 図1の★の3点を掘りました

和歌山県紀伊半島沖は2つのプレートがぶつかりあうプレートの境目で、片方のプレートがもう一方の下にしずみこんでいます。ここは巨大地震を引き起こすところ(震源)なので、地震のメカニズムを解き明かす上でとても重要です。


図1:「ちきゅう」が掘った場所

どんな研究をしたの? 地層のサンプルをとったり、掘った孔から地球内部の様子を調べたりしました

表 計画の内容

掘った
ところ
掘った
深さ
したこと
C0009
特徴1
1,603m ライザー掘削くっさくで海底下1,603mまで掘ることに成功しました。
・海底下1,510mから1,593mの間で、58m分もの地層のサンプルがとれました。

写真1:真剣なまなざしで地層のサンプルを見つめる研究者

・地層のサンプルの他に、掘った時に出てくる掘くずも調べました。
・掘った孔の中に装置そうちをおろして、孔の中の様子を画像やデータにおさめました。
・「ちきゅう」、「ちきゅう」が掘った孔と海底に置いた地震計、そして深海調査研究船「かいれい」を連携れんけいさせて海底下の構造を調べました。これは、実際に掘った深さよりも深いところまで明らかにできるすごい技術です。

図2:海底下をくわしく調べられる「ちきゅう」と「かいれい」の協力プレー


写真2:協力プレー中の「ちきゅう」と「かいれい」

C0010
特徴2
555m ・掘削と同時に、地層の中の様子やかかる力について調べることに成功しました。

写真3:孔の中を調べる計測機器を海底におろしています

・将来孔の中に計測機器を設置するために、孔の中のかべをかためてくずれないようにしました。
C0011
特徴3
952m ・掘削と同時に、地層の中の様子やかかる力について調べることに成功しました。
これからの予定は? 10月10日ごろまで、引き続き海の底を掘る予定です

この研究航海には、9カ国27名の科学者が参加しています。すばらしい成果を出せるようにがんばっていますので、引き続き応援おうえんをよろしくお願いします!

まめ知識【「ちきゅう」乗船前の訓練を紹介!】

HUET(ヒュエット)ヘリコプター水中脱出訓練

「ちきゅう」に乗船する人は、必ず受けなければならない訓練があります。それは「HUET」です。

「ちきゅう」は掘削中は船と海底がパイプでつながれるため、他の場所に移動することができません。ですから、航海の途中とちゅうで乗船・下船する人はヘリコプターで移動することがあります。しかし、ヘリコプターは海に不時着する危険があります。そこで「ちきゅう」に乗船する人は、万が一ヘリコプターが海に不時着しても、自分でまどを開けて海上に脱出するために、この「HUET」訓練を受けます。

(1)まず、教室でヘリコプターからの脱出方法について勉強します。その後、プールに移動していよいよ実技の訓練です!
写真のプールに浮かんでいるものが、訓練で使うヘリコプターの模型もけいです。
訓練を受ける人は、この中のイスに座ります。青色のシートベルトもしっかりしめます。

脱出する時、上手にシートベルトを外せるかな。きんちょう…。

(2)ヘリコプターの模型がプールの中でひっくり返されます!

プールの中でさかさまになると、どの方向に脱出すればよいか、一瞬いっしゅんわからなくなってしまいます!
教えてもらった通り、落ち着いて脱出しなくては!

(3)まどを開けて、シートベルトをはずして、手探りで無事に脱出しました!

ふぅー。これで安心!
でも実際にはトラブルは起きませんように!

※黄色いスーツの人:訓練を受けている人。
※黒いスーツの人:訓練をサポートする人。

他にも、海に落ちた時に体から熱が逃げない体勢の取り方や救命ボートの取りあつかい方などの訓練も受けます。乗船前にはこんな訓練もあるのです。

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解説が入る

特徴1:C0009

巨大地震が起きるところの真上

特徴2:C0010

巨大地震にともなって、津波と地すべりを引き起こすところ

特徴3:C0011

別のプレートの下にしずみこむ直前の場所