知ろう!記者に発表した最新研究

2011年4月28日発表
北アメリカプレートが50m移動
東北地方とうほくちほう太平洋沖地震たいへいようおきじしんにともなうプレートの動き

2011年3月11日、マグニチュード9.0の東北地方太平洋沖地震が発生しました。この地震において被災ひさいされた方々に、心よりお見舞みまい申し上げます。

ジャムステックは社会にできるかぎり貢献こうけんするために、この地震について様々な研究を行っています。

今回は、三陸沖さんりくおきの海底を調査ちょうさしたところ、地震によってプレートが南東に約50m動いて、約7mもり上がったことをつきとめました。これは、過去かこに起きたプレートの動きと比べてもケタちがいに大きなものです。地震にともなうプレートのその大きな動きが、同時に海面をおし上げて巨大津波を引き起こしたと考えられます。

研究者は、「調査を続けて、地震や津波の発生メカニズムをさらにくわしく明らかにしていく」と話します。


東北地方太平洋沖地震はどのように発生したの
北アメリカプレートの端(はじ)がはね上がったと考えられます

地球の表面は、あつさ数十〜数百キロの岩石でできた、何枚ものプレートにおおわれています。プレートはそれぞれの方向にゆっくりと移動して、別のプレートとぶつかると、一方がもう一方の下にしずみこみます(図1)。その下側のプレートはしずみ続けるので、上側のプレートはひきこまれゆがんでいきます。そのゆがみが限界に達したとき、上側のプレートは元にもどろうとはね上がって、地震を引き起こします。

地震発生のメカニズム

図1:地震発生のメカニズム


東北地方太平洋沖地震では、三陸沖の海底で、太平洋プレートのしずみこみによってゆがんだ北アメリカプレートがはね上がったと考えられます(図2)。

三陸沖にあるプレートの境

図2:三陸沖にあるプレートの境


では、その動きはどんなものだったのでしょう。それを知るために、研究者は調査を行いました。

どんな調査をしたの? 地震前と後の海底地形を比べました

2011年3月15日から31日にかけて三陸沖で、深海調査研究船「かいれい」による調査を行いました(図3)。


観測海域

図3:観測海域


音波で海底地形や地下構造ちかこうぞうを調べて、1999年に同じ海域かいいきで行った調査結果と比べました。その結果、北アメリカプレートの地形パターンが南東に約50m動いて、約7mもり上がっていたことがわかりました(図4)。これまでにも、震源の近くでは水平方向に24〜31m移動したことが他の機関から報告されていて、より沖側であるこの調査の50mは最大となります。また、過去に起きた地震でも、観測装置などが動いた距離きょりは数cmから数m。今回の地震による北アメリカプレートの動きは、ケタちがいに大きかったといえます。

北アメリカプレートの動き

図4:北アメリカプレートの動き


さらに、プレートのさかいがある水深7,600mの海底では、土砂の山を発見しました(図5)。そのはばは1,500m、高さは約50mに達します。陸側の斜面しゃめんが大きくくぼんでいたので、海底地すべりによってできたものと見られます。

海底地すべり

図5:海底地すべり

これからはどうするの? 研究を続けていきます

今回明らかになった北アメリカプレートの大きな動きが巨大地震となり、同時に海面をおし上げて巨大津波を引き起こしたと考えられます。今後は、より広い範囲はんい で調査を行って、地震発生のメカニズムをさらにくわしく明らかにする予定です。

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