海をたずねて -地球とわたしたち-

第1回 地球を知り地球と仲よく

地球深部探査船ちきゅう

地球では、生命は海から生まれました。そのわたしたちのふるさとともいえる海を調査・研究している海洋研究開発機構(JAMSTEC)が今回から、調査する船のしくみや深海の生き物、地震対策への取り組みを紹介します。第1回は、海底奥深くまでほり進む地球深部探査船「ちきゅう」です。

世界最高の掘削能力 海底下の7000メートルまで

「ちきゅう」は、全長210メートル、幅38メートル、高さが船底から130メートルもある巨大な船です。船から1000本以上のドリルパイプをつなげて、海底から約7000メートルの深さまでほることができます。科学目的の船としては、世界最高の掘削(ほって穴をあけること)能力です。

 奥深くほるため、ときには数か月もの間、海上の同じ位置にとどまらなくてはなりません。ちきゅうには、6個の「スラスタ」とよばれる水中プロペラがあり、風や波のデータから自動的にスラスタが回転し、同じ位置をたもてるようになっています。

位置をたもつスラスタ

風,波、海流などのデータを受け取り、位置や向きを調整するためのスラスタ(水中プロペラ)です。直径約4メートル

自動定点保持システム

6個のスラスタで、船の動きを自由にコントロールできます。波や風があっても、船が流されることはありません。図は船底から見ています。


[4つの目的] 地震の仕組みを調べる・生命の始まりを探る・地層から歴史をしる・地上への影響を調べる

このちきゅうは、地球をよく知り、地球となかよくくらす方法をさぐるためにつくられました。大きく分けて、4つの目的があります。

ひとつめは、地震発生のしくみを明らかにすることです。震源域までほって観察します。ほった穴には観測装置をおき、地震の情報がすぐに地上へつたわるようにして都市の防災に役立てる計画です。

ふたつめは、生命の始まりにせまることです。生命が誕生したころの地球は、温度が高く酸素がないなど、わたしたちが知っている地球とはだいぶようすがちがいます。しかし、現在も地下の奥深くには、生命誕生当時に似た環境がのこっています。海底からほり出した微生物を、ちきゅうにある研究室で分析します。


地球の歴史をきざんだ「コア」

海底から地層をほり出して、地球の環境の変化を調べます。2005年11月、ちきゅうは初めて「コア」とよばれる地層の柱状試料をほり出しました。

地球内部

「ちきゅう」は海底の下から約7000メートル、マントルという部分までほり進みます。マントルの動きを知ることで、大陸の移動 や火山活動のしくみがわかります。


海底からほり出した地層を調べ、氷河期などの地球の歴史を知ることが3つめの目的です。未来の地球環境を知ることにもつながります。

ちきゅうは世界で初めて、マントルとよばれる部分までほり進みます。マントルは大陸の移動や火山活動を引き起こすみなもとになっています。地球の中で起こっていることが、地上にどう影響をおよぼすかを調べるのが4つ目の目的になります。

ちきゅうは現在、八戸港(青森県)の沖合で試験運用中です(記事掲載時)。操作訓練や機器の試験を行い、2007年に予定されている「本番」を待っています。

地球深部探査船「ちきゅう」

後ろはベイブリッジ(神奈川県)です。ちきゅうの高さ約130メートルは、30階建てのビルとほぼ同じ。橋の下をくぐることはできません。やぐらを見上げると首がいたくなりそう

JAMSTECってなに?

JAMSTEC(独立行政法人海洋研究開発機構)は、海と地球を研究するところです。 おもに次の3つの研究や開発を行い、「これからの地球」を知ろうとしています。

1.海の気温や水温、空気や水の流れをはかって温暖化のしくみを研究したり、その情報をコンピューターで計算して未来の地球環境を予測したりします
2.深い海の中へ行くための機械を開発して、そこにいる新しい生物や海底の現象を観察します
3.新しくつくられた船「ちきゅう」で深い海底をほり、地球の内部や地震の仕組みを解明しようとしています。

※このページの内容は、2006年4月6日に朝日小学生新聞に掲載された記事の抜粋です。内容は、掲載当時のものであり、現在の状況とは異なる場合もありますので、あらかじめご了承ください。