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海をたずねて -地球とわたしたち-

第19回 海底の「現場」に迫りなぞ解明

地震(3)

巨大地震は海底の地下深くで起こります。そうした地震の震源近くで、観測や調査ができるようになってきました。地震シリーズの最終回は、地震発生のなぞにせまる取り組みを紹介します。

プレートの動きなど 機器を置き長期観測

巨大地震は、プレート(地球表面の岩板)の運動をエネルギー源に、プレートとプレートの境目で発生します。年間数センチしか動かないプレート運動を調べるには、長期的な観測が必要です。

JAMSTECでは北海道釧路・十勝沖、相模湾初島沖、高知県室戸岬沖の海底に長期観測機器を設置し、陸上ではとらえきれないプレートの動きや小さな地震を観測して、プレートのひずみや地下のマグマ活動の推定に役立てています。

過去に地震がくり返し起きていることから、今後30年以内の巨大地震発生が心配されている東海・東南海・南海地域でも、海底ネットワークシステムの整備計画が進められています。

日本周辺の観測システム
深海底総合観測ステーション

1993年に相模湾初島沖、水深1174メートルに設置されました。光ファイバーで地上とむすび、地震や泥水の発生、生物群のようすを観測しています。


海底から数千メートル下のプレート内部に、地震発生帯(地震が何度も発生するため「地震の巣」とよばれます)があります。構造を調べるために、東海・東南海・南海地域では10年ほど前から、海洋調査船「かいよう」や深海調査研究船「かいれい」で調査しています。

調査には、エアガンから圧縮空気をうち出してつくった人工の地震波を使います。地層の各部ではねかえった地震波を水中マイクや海底地震計でとらえることで、人間の体をレントゲンで調べるように、地下の構造がわかります。この調査では2000年、四国沖に、長さ50キロ、高さ3キロもの巨大な海山(海底にある山のような地形)がプレートの運動によりしずみこんでいることがわかりました。

海底の下をさぐる探査システム

エアガンから発生した人工地震波は、プレート内部ではねかえります。その波を海底地震計やストリーマケーブル(水中マイク)でとらえ、レントゲンのようにプレート内部の構造がわかります(図を拡大


「地震の巣」の調査は、地球深部探査船「ちきゅう」が完成したことで、さらに進みそうです。海底下7000メートルまでほることのできる「ちきゅう」なら、「地震の巣」を直接調べられます。07年には東海・東南海・南海地域の調査が予定されています。(2006年現在)

しずみこんだ海山

探査システムで、四国沖に巨大な海山がしずみこんでいることがわかりました。海洋性地殻(プレート)がしずみこんだところに、上下にふくらんだ形でありました(図を拡大


プレートの運動で地震が起こるのではと考えられるようになったのは、1960年代以降のことです。研究対象としては新しく、地震が発生する仕組みについても、まだわかっていないことがあります。

しかし、こうした観測機器や船の進歩で、地震の「現場」にせまれるようになってきました。発生の仕組みを解明し、地震被害を小さくできるように、JAMSTECの研究はつづきます。

※このページの内容は、2006年12月14日に朝日小学生新聞に掲載された記事の抜粋です。内容は、掲載当時のものであり、現在の状況とは異なる場合もありますので、あらかじめご了承ください。