海をたずねて -地球とわたしたち-

第21回 海洋に未知の自然を追う

JAMSTECの仕事

新しいことがら探り世の中に伝える使命

海と地球について研究しているJAMSTECでは、約1100人の職員が働いています。海にかかわる仕事としては、研究者と技術者という仕事に分けられます。

研究者は、さまざまなことがらを追究していきます。「地震が発生する原因は?」「海の底にはどんな生き物がすんでいる?」など、自然界のできごとについて考え、いままで誰も知らなかったことをさぐり当てる仕事です。新しいことがわかったら、論文を書いたり、学会で発表したり、講演をしたりして、世の中につたえるのも大切な役目です。

研究者

未知の世界を解明します。地震のような地球内部の現象、深海生物のような生物関連、地球温暖化にかかわる海水や氷など、分野はさまざまで、実際の「現場」も、深海だったり北極だったり陸上だったりと、いろんな場所で研究者たちは働いています。


1.北極で海氷に穴をあけて機器を設置し、海水温や塩分濃度などを観測(地球環境観測研究センター提供)
2.地球内部の構造をさぐるため、地上でも岩石などを試料として採取します(地球内部変動研究センター提供)
3.航海にはいろいろな国の研究者が乗船しいっしょに研究を行うこともあります。
4.無人探査機「ハイパードルフィン」で深海を調査(海洋調査船「なつしま」上のモニターでチェックするようす)


技術者は、船や観測機器など、研究用の道具を動かすために活躍しています。研究者が深海の現場をさぐるためには、調査する船が必要です。船を設計する人、できた船を整備する人、乗組員として研究者を現場につれていく人などが技術者として働いています。現場からえられたデータをコンピューターで処理したり、スーパーコンピューター「地球シミュレータ」を使って分析したりするなど、コンピューター関連の仕事もあります。

技術者

船や観測機器、コンピュータを使って研究活動にたずさわります。研究者が「現場」で働けるのは技術者のささえがあってのことです。


1.有人潜水調査船「しんかい6500」のパイロットは母船上では整備も行います(海洋工学センター提供)
2.船橋では航海士の指示のもと操舵主が舵をとります(海洋工学センター提供)
3.海洋地球研究船「みらい」の甲板で海水をとる海水器を海中におろしています(地球環境観測研究センター提供)


研究者・技術者の中には、子どものころ、魚釣りや海遊びが好きだったり、車や船の仕組みに関心があって、自転車の修理をしていたりといった経験をし、身の回りのことをきっかけに、この仕事についた人がいます。いまは天気予報や地震・台風のニュースなど、地球環境についての情報もたくさんあります。海が好きで、地球環境に興味があるみなさんは、この2007年を、「海の仕事をめざし始めた年」にしてみませんか。

事務職

JAMSTECでは約400人が事務職として、法律面や海外の研究機関との関係をとりまとめるなど、海に関する分野以外の仕事で、研究者、技術者をささえています。写真は事務方が集まってのテレビ会議のようす。



「うらしま」ロボット2006優秀賞に

JAMSTECの深海巡航探査機「うらしま」が2006年12月、「今年のロボット」大賞2006の優秀賞にえらばれました。「今年のロボット」は2006年、経済産業省が新たにつくった制度で、ロボット産業のリード役として期待できるロボットを毎年選んで表彰するものです。

「うらしま」内部(模型)。閉鎖式燃料電池やカメラ、自分の位置を知るための機器などがつまれています。
 「うらしま」はJAMSTECが1998年から開発をつづけている深海探査ロボットで、あらかじめ設定されたコースを、自分の位置を計算しながら進むことができます。連続航走記録は300キロをこえ、水深3500メートルまでもぐることができます。また、エネルギー源として、水素と酸素から発電する閉鎖式燃料電池の使用を、深海ロボットとして初めて実現させました。これらが評価されての受賞となりました。
 「うらしま」は地球温暖化の仕組みをさぐるために必要な塩分濃度、水温などの海洋データを、広範囲にわたって調査できます。また、人が乗る船ではむずかしい北極海や海底火山周辺の調査も可能です。深海のくわしい探査を行うため、今後の活躍が期待されています。

※このページの内容は、2007年1月11日に朝日小学生新聞に掲載された記事の抜粋です。内容は、掲載当時のものであり、現在の状況とは異なる場合もありますので、あらかじめご了承ください。