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海をたずねて -地球とわたしたち-

第22回 新しい資源を求めて・・・

海のめぐみのエネルギー

いま、原油の価格が上がったことや、地球温暖化などで、エネルギーに対する関心がふたたび高まっています。海にも、たくさんのエネルギーがねむっているのを知っていますか? 波の動きを利用する「波エネルギー」と、海底にうまっている「メタンハイドレート」を見てみましょう。

波エネルギー
波の動きを有効に利用

JAMSTECができてすぐの1973年、日本を「第一次石油危機」がおそいました。おもなエネルギー源としていた石油の値段が上がり、日本経済は混乱しました。そこで、石油にかわる新エネルギーとして波エネルギーが注目され、JAMSTECでは74年から研究開発が始まりました。

よせてはかえす波の動き、波エネルギーを有効利用するのが「波力発電(はりょくはつでん)」です。海は、地球表面の約7割をしめ、波エネルギーは、地球上で使っている電力をすべてまかなえるほどの量があります。しかも、波エネルギーは、温室効果ガスとなる二酸化炭素を出さず、「地球にやさしい」長所もあります。


マイティーホエール

クジラのような形で船のように海にうかび、「口」から波をとり入れて発電します。全長50メートル、幅30メートルで、3台のタービン・発電機を搭載しています


高い波が打ちよせる地域ほど、波エネルギーがたくさんあります。世界分布を見ると、日本はヨーロッパなどにくらべるとエネルギーはさほど多くありません。しかし、四方を海でかこまれているため、海岸線の総延長では約3100万~3600万キロワットの波エネルギーが見こまれ、これは日本の年間電力消費量の約3分の1にあたります。

JAMSTECで開発した波力発電は、波による海面の上下運動を空気の流れにかえ、その空気の流れでタービンを回して発電する方式です。発電装置「マイティーホエール」を海にうかべ、98年から3年半の間、三重県沖で実験を行いました。全長50メートル、幅30メートルの「マイティーホエール」で約20軒の家庭の電力をまかなえる実験結果が出ました。

ヨーロッパでは波力発電は実用化されつつありますが、日本の場合は、波が小さいなど不利な面があり、実用化にはいたっていません。その不利を克服するため、波力発電の効率を上げたり、太陽光発電と組み合わせたりして、発電量を上げることなども考えられています。

太陽光と波力のセットで発電

「マイティーホエール」の甲板にソーラーパネルを設置して、発電量を大きくする実験も行われました

波エネルギーの世界分布

年間を通じて強い偏西風がふいているヨーロッパ諸国の沖合いは、波エネルギーの量にもめぐまれ、発電力の研究が進んでいます(図を拡大)


メタンハイドレート
海底からの採取に成功

海底にはマンガンやニッケルなど多くの鉱物資源がねむっていますが、近年もっとも注目されている資源が「メタンハイドレート」です。水温がひくく、水圧が高い状況で、メタンが水にとけたままこおったもので、「燃える氷」ともよばれています。

燃える氷

メタンハイドレートは燃える氷ともいわれてます。とけ始めたメタンに火がつくのです
(写真提供:地球深部探査センター・計画推進グループ グループリーダー 倉本 真一 )

メタンハイドレート

ピストンコアラーという装置で、海底をほって採取しました。右下の写真はメタンハイドレートのかたまりをわったもの

海底電気探査

「ディープトウ」=写真=で、海底付近に弱い電流を流し、地下の構造を調べます 。メタンハイドレートは電気を通しにくいので、ありかがわかる仕組みです


メタンハイドレートは日本周辺にたくさんあるといわれ、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)などが中心となり、2016年以降の実用化をめざしています。

JAMSTECは05年8月、新潟県沖の水深約900メートルで、メタンハイドレートが海底にむき出しになっているのを確認し、採取に成功しました。むき出しになっているのはめずらしく、世界でも3例目です。

資源として役立つメタンハイドレートは、地球温暖化や、海底環境の変化にも影響をおよぼします。

メタンは天然ガスの成分として使われ、石油や石炭よりも温室効果ガスの排出量は少ないのですが、メタンそのものの温室効果は二酸化炭素の約20倍ともいわれます。こおっているメタンハイドレートが、何かの拍子にとけ出すと温暖化が進むと考えられます。また、地下にあるメタンハイドレートの層は、一部はとけて液体のため、不安定ですべりやすい性質があります。地震が起こると、地すべりで大きく海底環境が変化し、海底ケーブルなどが破損するおそれもあります。

このため、メタンハイドレートが、どこにどのような状態で存在しているのかを知ることが重要です。JAMSTECでは、地震波や電気を使って海底の下を調査しています。

海底のメタンハイドレート

2005年8月、新潟県沖の水深約900メートルで発見。白い部分がメタンハイドレートです

海底から採取する仕組み

ワイヤでつり下げたピストンコアラーを海底までゆっくりおろしても、底についたら勢いよく地中につきささるようになっています。船の上から深海のねらった場所を、ほぼ正確にほることができます


※このページの内容は、2007年1月25日に朝日小学生新聞に掲載された記事の抜粋です。内容は、掲載当時のものであり、現在の状況とは異なる場合もありますので、あらかじめご了承ください。