トップページ > キッズ > 海をたずねて -地球とわたしたち- > 第23回

海をたずねて -地球とわたしたち-

第23回 世界が手を結び環境守る

全地球観測システム

温暖化など地球の環境問題がさけばれるようになってきました。もし地球が「病気」になってしまえば、世界中の人々が影響を受けます。それをふせぐため、世界で協力して環境問題に取り組む計画が進んでいます。

さまざまな観測データ 目的ごとにまとめ活用

海や宇宙や地上など、いろいろなところから地球を観測しています。それらの観測データを、世界で有効に活用できないか──。そんなねらいで始まったのが、全球地球観測システム(GEOSS-ジオス-)です。2003年、フランスのエビアンで開かれた主要国首脳会議(サミット)で、小泉純一郎首相(当時)が提案。その後3度の地球観測サミットをへて、「GEOSS10年実施計画」がつくられました。現在は66か国とEC(ヨーロッパ委員会)、世界気象機関(WMO-ダブリュエムオー-)や国連教育科学文化機関(UNESCO-ユネスコ-)など46の国際機関が参加しています。

GEOSSは地球上のすべての地域を観測の対象にし、船や人工衛星など、いろいろな観測システムでえられたデータを目的ごとにまとめ、必要としている人にとどける仕組みをつくろうとしています。目的とする項目は、災害、健康、エネルギー、気候、水、気象、生態系、農業、生物多様性の9つです。

GEOSSで目標とする9分野

1. 健康:人間の健康に影響をあたえる環境とは何かをさぐる
2. 災害:自然や人の手による災害などから人命や財産を守る
3. 気象:気象情報、予報、警報をよいものにする
4. エネルギー:エネルギー資源の管理に役立てる
5. 水:水循環について理解し、水資源を守る
6. 気候:気候変動、変化はなぜ起こるか理解し、予測する
7. 農業:農業をたすけ、砂漠をへらす
8. 生態系:陸や海の生態系を保護する
9. 生物多様性:いろんな生物がくらせるようにし、絶滅をふせぐ


気象については実現が進んでいて、大気や海の観測からえたデータをもとに、「天気予報」という形でわたしたちに情報がつたわる仕組みができています。この気象でのやり方にならって、ほかの分野もシステムづくりに取り組んでいます。GEOSSという目標があるおかげで、国同士や科学者同士が協力しやすくなりました。

日本では、さまざまな研究機関がGEOSSに役立つ観測をしています。これらの観測データを文部科学省の関係機関がまとめ、政府や研究者など情報を必要とする人に提供。JAMSTECは海について、調査船やアルゴフロートなどで観測し、役割をはたしています。これまでデータが不足していたインド洋や東南アジア域でも、観測活動を行っています。

アルゴ配置図

2006年12月現在、2771個のアルゴフロートが設置されています。日本のものは380個(むらさき色の点)。日本近海から太平洋を中心に分布しています(図を拡大)

アルゴフロート

各国で協力して、世界中の海にアルゴフロート=写真=を設置し、水温や塩分濃度などを計測しています。観測データは気候変動についての理解や将来の予測に役立ちます


地球環境の問題は、決してひとごとではありません。地球温暖化で、作物が栽培できなくなったり、魚がとれなくなったり、熱帯病が流行したりするおそれがあります。天気予報で雨がふるとわかれば傘を準備するように、地球環境についての情報が利用しやすい形でえられれば、環境を守る方法を見つけることができます。わたしたちのくらしを守るそなえができるのです。そういった社会の実現をめざし、世界が手を取り合ってGEOSSに力を入れています。

JAMSTECのデータサイト

JAMSTECでは、調査・研究活動でえた内容をホームページで公開しています。調査船などでえた深海の画像や、以前紹介した「科学天気予報」などがこのページで見られます


(アドレスhttp://www.jamstec.go.jp/j/database/)

沖縄の深海底で青い熱水を発見

JAMSTECは有人潜水調査船「しんかい6500」で沖縄・石垣島の北西約50キロ付近の海底を調査したところ、熱水噴出孔から青い熱水がふき出しているのを発見しました。「ブルースモーカー」といい、世界初の発見だと考えられます。

世界で初めて深海底から青い熱水がふき出しているのが発見されました=沖縄県沖水深1470メートル付近で
 これまで、黒色、灰色、白色の熱水がふき出しているようすの発見例はありますが、青色の報告はありません。色は、熱水がふき出すようになる原理にも関係しているため、新色の発見は、熱水活動のしくみについての新たな発見にもつながりそうです。
 ブルースモーカーと同時に、白色の熱水がふき出しているようすも、この海域で初めて見つかりました。これらはマグマ活動や地震活動の活発化と関係があるとみられ、熱水活動のようすなどを注意深く観察する必要があります。

※このページの内容は、2007年2月8日に朝日小学生新聞に掲載された記事の抜粋です。内容は、掲載当時のものであり、現在の状況とは異なる場合もありますので、あらかじめご了承ください。