海をたずねて -地球とわたしたち-

第26回 生命支える地球システム

海からさぐる地球

2006年4月に始まったこの連載も、今回が最終回です。海を通じて地球全体のことを考えてもらいたいというねらいで、シリーズを続けてきました。「生きる」循環を考えたとき、地球は、全体で一つのシステムになっています。最後に、地球の一部として海が果たしている役割を見ていきましょう。

さまざまな危機乗り越え安定した環境を守る

46億年という長い時間をかけて、地球は、生命を育む青い惑星に進化しました。

どうして地球だけが、生命の存在する星になったのでしょうか。地球は宇宙に浮かぶたくさんの小さな星たちが、ぶつかったりくっついたりして誕生しました。生まれたばかりのときは、表面の温度が1000度をこえ、マグマの海におおわれていました。上空は高温・高圧の分厚い雲におおわれており、地表の温度が下がり始めると大量の雨を降らせました。こうして誕生したのが海です。

地球システム

(図を拡大)


地球で最初の生命は、約35億年前、海底の熱水がふき出しているようなところで生まれました。バクテリアのような原始生物です。こういった生き物は酸素があると生きられず(嫌気性-けんきせい-)、時間がたって生まれた生き物が二酸化炭素から酸素を作ったため、地下へにげたと考えられています。こうした生き物の「子孫」となる微生物が、現在も海底の下で生きており、海底をほって調査することで、生命の誕生や進化の秘密が分かるのではと期待されています。

生命誕生以後も、巨大隕石が衝突したり、地球全体が寒くなり氷に閉ざされてしまったりと、大きな変動がありました。地球は、そういったピンチを乗りこえて、生命が保たれ、進化できるような安定した環境を守ってきました。そこには「地球システム」といわれる、地球全体でのエネルギーや物質の循環がありました。地球表面の約七割を占める海は、この循環の中で大きな役割を果たしています。

青い星、地球

地球表面の約7割を海が占めます。海の誕生から、生き物の歴史も始まりました。

生き物が生きるのに必要な元素を生元素(酸素、水素、炭素など)といい、海の中にはたくさんあります。生命活動を通じて海の中でも循環しますが、海以外の部分、例えば地球のコアの部分からもらったり、海であまったものが堆積物となって、海底の下へ供給されたりします。海水を通じて、大気中に出て行くものもあります。こうした生元素の循環が生き物を作っていきます。そのため、海の中だけでの循環だけでなく、海をふくむ地球全体で、生元素の流れをつかむことが重要になってきます。

二酸化炭素などの温室効果ガスや、新エネルギーと期待されているメタンハイドレートも、もとはこの生元素です。生元素はどこから来て、どこへ行くのか。地球の一部の循環ではなく、全体での流れを考え、長い期間でどうなるのかをつかむことで、地球の進化の道筋をたどったり、今後どうなるかを予想したりできるかもしれません。地球の一部として、海が地球にどんな影響を与えているのか、また、地球からどんな影響を受けているのか、そんな視点でこれからの研究も進んでいきそうです。

地球の歴史

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※このページの内容は、2007年3月22日に朝日小学生新聞に掲載された記事の抜粋です。内容は、掲載当時のものであり、現在の状況とは異なる場合もありますので、あらかじめご了承ください。