第2回「Blue Earth Academy」開催報告

2016年8月18日(木)~8月19日(金)に第2回「Blue Earth Academy」(渡邉 修一 校長:JAMSTECむつ研究所所長)を、八戸市水産科学館マリエント(以下、「マリエント」)とJAMSTECの共催で、八戸市、八戸市教育委員会、八戸工業大学のご協力のもと、会場を八戸市鮫町の「マリエント」と八戸港に停泊中の海洋地球研究船「みらい」(以下、「みらい」)で開催しました。

今回は、「化学海洋学および東北周辺海域の研究を学ぶ」をテーマに講義と実習を、八戸港に停泊中の「みらい」に宿泊することで船での生活体験も含んだカリキュラムで、「マリエント」の「ちきゅう」探検クラブ・シニア(高校生・高等専門学校生・大学生対象)の25名を対象に実施しました。

8月18日<1日目>


開校式
台風7号の影響で「みらい」の八戸港入港が遅れたことから、急遽、会場を「マリエント」に移し、開校式および講義を行いました。



講義の様子
東日本の海洋調査を中心に、「『微』生物の多様性とミズカビの話」、「『みらい』による高精度観測が明らかにする深海の長期変化」、「海洋と工学に関する研究―津波―」の講義および翌日行う実習の解説を行いました。

「みらい」へ乗船
夕方、八戸港に着岸した「みらい」へ乗船しました。乗船後すぐに夕食でした。

船内見学および調査機器の説明
船長からの挨拶および船内見学を行いました。また、CTD採水システムおよびドップラーレーダーやラジオゾンデなどの気象観測装置の紹介と調査機器から得られたデータをどのように研究に用いているのかなどの現場の話を聞きました。

8月19日<2日目>




海洋観測実習
-海洋中の溶存リン酸塩の分析-
実際に「みらい」で行われている海洋観測の分析実習を行いました。6班に分かれて研究者、技術者から詳しく指導があり、学生は不慣れな手つきではありましたが、正確に薬品の調整を行っていました。
分析実習の後は、各班が行った分析結果をまとめ、海洋中の溶存リン酸塩について考察しました。
最後に学校長からの講義と講評があり、実習内容についての理解を深めたようでした。

第2回「Blue Earth Academy」は、台風の影響により開始直前に会場を変更する大幅なスケジュール変更があり、運営スタッフは慌てましたが、参加した学生だけでなく、各講師や「マリエント」からの引率スタッフの皆様のお蔭で、無事に終了することができました。

今回は実際に活躍している調査船に乗船、宿泊し、研究者、技術者が行っている調査・研究について体験できるプログラムでした。参加した学生は、今回の体験をとりまとめ、「JAMSTEC研究船の研究成果を発表するブルーアースシンポジウムなどでの発表をめざしている」とのことです。今後は、これを機会に海洋科学への興味や関心をさらに深められることに期待します。

スケジュール

8月18日(木)「Blue Earth Academy」(1日目)
08:30 受付開始
09:00 開校式(関係者との挨拶等)マリエント3階シアター
09:30 オリエンテーション・JAMSTEC概要説明
10:00 第1講:「微」生物の多様性とミズカビの話 
 東日本海洋生態系変動解析PT 瀧下 清貴 主任研究員
11:00 翌日の実習に関する説明
12:00 昼食
13:30 第2講:「みらい」による高精度観測が明らかにする深海の長期変化
 地球環境観測研究開発センター 内田 裕 主任技術研究員
14:30 第3講:海洋と工学に関する研究――津波―― 
 八戸工業大学 土木建築工学科 佐々木 幹夫 教授
15:30 移動
「みらい」乗船@八戸港岸壁
17:00 夕食
18:00 安全講習  「みらい」船長による海洋地球研究船の紹介
 海洋地球研究船「みらい」 松浦 寛 船長
 観測機器および船内見学
20:00 入浴及び自由時間
22:00 就寝(船内泊)

8月19日(金) 「Blue Earth Academy」(2日目)
07:00 起床
07:30 朝食
08:30 実習1:海水中のリン酸塩分析
12:00 昼食
13:00 実習2:海水中の栄養塩分析
14:00 実習3:分析結果を踏まえた解説
14:30 第4講:青森県周辺海域の環境変動 
むつ研究所 渡邉 修一 所長
(第2回Blue Earth Academy校長)
15:30 閉校式(まとめ・挨拶)
16:30 下船
16:40 記念撮影
16:50 終了
17:00 出発
17:25 マリエント到着(駐車場解散)

講義内容と講師

講義内容講師
第1講「微」生物の多様性とミズカビの話
一般的に生物の多様性というと,動物や植物に目が向けられることが多い。しかし生物の本当の多様性は,肉眼では見ることができない顕微鏡レベルの世界,つまり微生物の世界に広がっている。本講演では,単細胞真核生物の多様性を解説し,その上で,三陸沿岸のシロサケ卵人工ふ化場でも被害をおよぼすミズカビ(単細胞真核生物の一種)について紹介する。
瀧下 清貴
東日本海洋生態系変動解析プロジェクトチーム
主任研究員
第2講「みらい」による高精度観測が明らかにする深海の長期変化
2016年上半期の世界の平均気温は、観測史上最も高かった昨年を上回る高温を記録しました。地球温暖化は、海洋大循環を変化させ深海にも影響を与えると考えられています。この講義では、海洋地球研究船「みらい」で行っている海洋の高精度観測をもとに、深海で起こっている変化の謎に迫ります。
内田 裕
地球環境観測研究開発センター
主任技術研究員
第3講海洋と工学に関する研究――津波――
青森県太平洋沿岸の津波についてお話します。特に、津波は何故起きるのか、その発生のしくみについて、どのような津波が世界で起きているのか、青森県太平洋沿岸に本当に津波は来るのか、来るとすればどのような津波が来るのか、青森県を襲う最大クラスの津波について、津波から難を逃れ生き残るための方法はあるのか、等について講演します。
佐々木 幹夫
八戸工業大学
土木建築工学科
教授
第4講青森県周辺海域の環境変動
地球温暖化の要因の一つとして挙げられる二酸化炭素の海洋における分布を中心に青森県にあるむつ研究所が研究対象としている青森県周辺の環境変動研究について紹介する。なお、実習を受けて化学海洋学の基本的なことについても話す予定です。
渡邉 修一
むつ研究所
所長
第2回Blue Earth Academy校長