公開セミナー


演題 地球温暖化の核心部、北極海 〜戻らぬ変化の臨界点を越えたのか?〜
講演者 島田 浩二
(地球環境観測研究センター 北極海気候システムグループ グループリーダー)
日 時 2008年2月16日(土) 13:30〜15:00(開場13:00)
場 所 横浜研究所三好記念講堂(地図)
入場料 無料 (事前申込みは不要です)

(要 旨)

 北極海の氷は何処でも同じように減少しているのではなく、太平洋と隣接する場所で激減しています。太平洋に隣接する北極海では1990年代後半に氷の下の海水温が約1度急激に上昇しました。その海水の起源は太平洋から北極海に流れ込む水です。海と大気の狭間に存在する海の氷にとっては、このたった1度の“海の温暖化”は10度の“大気の温暖化”の影響と等価です。つまり、現実の北極海では、21世紀末に予測されている“大気の温暖化”よりも、さらに進んだ“海洋の温暖化”が既に進行しているのです。海が暖まれば、冬の間、氷は充分成長できず、一夏の弱い加熱で融けきれるほど脆い状態で夏を迎えます。“融ける量”と“出来る量”のアンバランスが減少をもたらすのです。
 10年前に始まった海の温暖化は止まることなくさらに加速してゆきました。そして北極海の海氷が持続的に薄く脆くなり、2007年の夏を迎える前、かつては一枚岩のように沿岸まで張り詰めていた氷盤がボロボロになりました。小さくボロボロになった氷盤は動きやすくなり、薄い氷は北へ、厚い氷は南へ一気に運ばれ、記録的な海氷面積の減少が起こりました。戻らぬ変化の臨界点を越えたといえるでしょう。今冬、北極海の氷は2007年夏を迎える前の冬とは比較にならないほど速く動きそして崩壊しています。変化の更なる加速の予兆です。
 白い海から青い海に変わりゆく北極海の真実と変化のメカニズム、海洋-海氷-陸域-大気の間で織り成す変調現象を紹介します。また、2008年は50年に一度の国際極年の最終年、海洋地球研究船「みらい」北極観測に向けての抱負を語ります。

(お問い合わせ)

海洋研究開発機構 横浜研究所

TEL:045-778-3811 E-mail:pr@jamstec.go.jp