●温室効果ガスと中層水の役割
●中規模渦の形成
●北太平洋の気候変動と海洋循環
●熱帯域の大気ー海洋相互作用
●大気−海洋−海氷相互作用(北極圏)



温室効果ガスと中層水の役割

近年、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの大気中濃度の増加が、地球上の気候システムや生態系に大きな影響を与えることが懸念されています。地球表面積の7割を占める海洋は大気中の二酸化炭素をあるところでは吸収し、他の海域では放出することにより、大気中濃度に多大な影響を与えています。中でも、低温・低塩分の中層水が形成される北西部北太平洋は、吸収域として考えられるため、地球表面における炭素循環を考える上で重要な海域の一つであると言われています。


中規模渦の形成

海洋は直径100〜200kmぐらいの渦で満たされています。これは、大気における高気圧や低気圧に相当するもので、中規模渦と呼ばれています。特に、黒潮のような強い流れのあるところで活発に生成・消滅を行っています。中規模渦は、海洋における熱の輸送や二酸化炭素などの循環に大きな役割を持つと考えられています。


北太平洋の気候変動と海洋循環

北太平洋地域の気候は10数年程度の周期で気候の温暖化・寒冷化を繰り返す傾向にあります。海洋は大気に比べて非常にゆっくりとした変動をし、かつ莫大な熱を持っています。たとえば偏西風など大気の変動が生じた場合、その変動が海洋の表層・中層をゆっくりと太平洋を十数年かけて伝播し、これが黒潮や赤道域のエルニーニョを通してまた大気の変動にフィードバックしているものと考えられています。すなわち、海洋が10年という時間スケールを作り出しているのです。


熱帯域の大気ー海洋相互作用

西部熱帯太平洋の暖水プールは年間を通じて28。C以上の海面水温を維持し、全球大気の駆動源となっている海域です。この暖水プールの東方への移動がエル・ニーニョ現象であり、大気の大規模な東西方向の循環や南北方向の循環のパターンに変動を与え、中緯度にも異常気象をもたらすことが知られています。さらに冬に冷やされ、夏に暖められるアジア大陸と温度変化の少ない太平洋、インド洋の間におこる大規模な海陸風であるアジアモンスーンにも西部熱帯太平洋の変動が影響を与えていると考えられています。以上のように熱帯域の大気−海洋相互作用の解明は季節変動から数年規模の気候変動を調べる上で最も重要です。


大気−海洋−海氷相互作用(北極圏)

北極海は上空の-50℃にも達する非常に冷たい大気に熱を与えると同時に、大量の海氷を作り出します。この海氷生産にともなって海に放出される冷たく重い水は海中深く沈み込んで行き、深層水や底層水の形成に大きな役割を果たしています。一方海氷は良い断熱材でもあり、海氷が海面を覆ってしまうと、海から大気への熱の流れを遮断します。海氷は一枚の板のように海面に浮いているのではなく、風や海流により絶えず移動しながら、割れて開水面が現われたり重なりあって高い氷の山脈を作ったり、その分布や厚さを変化させます。このような海氷の形成にともなう熱と塩分の輸送過程に代表される大気と海洋の相互作用の解明が、北極域の気候システムの理解のためには重要となっています。


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