通常、海洋生態系は、海草や植物プランクトンによる光合成生産を出発点とした食物網が成り立っています(光合成生態系)。しかし、メタンや硫化物が豊富な環境では、イオウ酸化バクテリア・メタン酸化バクテリアといった化学合成バクテリアが生産者となる食物網があり、化学合成生態系と呼ばれます。







 化学合成生態系に固有な底生動物のなかには、化学合成バクテリアを体内に共生させて栄養を得るように進化した動物群が多くいます。例えば、ハオリムシ(チューブワーム類)、二枚貝のシロウリガイ類 Calyptogena ・シンカイヒバリガイ類 Bathymodiolus 、キヌタレガイ類 Solemyidae ・ハナシガイ類 Thyasiridae・ツキガイ類 Lucinidae、腹足類のアルビンガイ Alviniconcha hessleri 、海綿動物の Cladorhiza などがそうです。






化学合成生態系の大きな特徴は、深海域にありながら極めて高いバイオマスを有することです。例えば、相模湾初島沖(水深1200m)にある冷水湧出帯生物群集には、シロウリガイ Calyptogena soyoae とシマイシロウリガイ Calyptogena okutanii が高密度の集団を形成し、バイオマスの値は、最大では 20kg/にも達します。また、世界各地にある群集を構成する生物は、低次分類群レベル(科・属)で類似しているので、これらの群集間の生物地理的つながりを、系統・初期生活史・プレート移動過程の復元などから解析しています。

相模湾初島沖の水深1200mにある冷水湧出帯生物群集.シロウリガイの高密度集団.



化学合成生態系は、メタンや硫化物が豊富な環境に形成されますが、大規模なのものは深海域にあります。化学合成生態系には、熱水噴出にともなって形成される熱水噴出孔生物群集や周辺の温度と大差のない冷湧水のわき出しにともなう冷水湧出帯生物群集といった生物群集があります。
火山活動が生じているプレート生成域や海底火山には、熱水噴出孔生物群集が分布しています。プレート同士が衝突する沈み込み域では、衝突圧力により堆積物中から冷たい間隙水がわきだしているので冷水湧出帯生物群集が分布しています。また、深海に沈んだ鯨の死骸や穀物運搬船のまわりにも、腐敗によりメタンや硫化物などが発生しますから化学合成生態系があります。

化学合成生態系とテクトニクス



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化学合成生態系の発見巨大地震の影響


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