海洋研究開発機構

スマトラ島沖地震(Mw9.0)による津波の最大波高モデル


 地震波等のデータに基づき今回のスマトラ島沖地震の津波の最大波高についてシミュレーションを行った。図1は、本震発生後20時間以内に発生した余震分布である。これらの余震が本震によって既に破壊された断層面で起きていると考えると、本震の断層長さは約1300kmとなる。しかしながら、現在までに得られた地震学的な解析結果(山中、2004:八木、2004)によれば、このうちの南側半分(約600 kmの長さ)が本震時に破壊した可能性が高い。ここでは、(ケース1)南側半分のみが本震時に破壊した場合と、(ケース2)約1300kmの長さの断層が本震時に一気に破壊した場合の、2通りの場合を想定し、津波の数値シミュレーションを行った。海溝沿いに4枚の断層(南から北に向かって、A,B,C,D)を置き、ケース1では断層AとBのみが破壊、ケース2では断層A,B,C,Dすべてが破壊し、いずれの断層も平均で7m滑ったと仮定した。計算時間は地震発生から4時間後までとした。

 図2図3が、それぞれケース1とケース2に対する最大津波波高分布の計算結果である。津波の陸上遡上の効果は考慮していない。また、海岸での厳密な津波の高さは計算しておらず、深海底から、海岸から約5.5km離れた沖合までの津波波高のみを計算した。実際の海岸では、これらの図で示される津波波高に比べて、3倍〜5倍程度(平均)で増幅すると考えられるが、地形等の要素が加わり、場所によってはさらに大きく増幅されている可能性がある。また、今回の計算では、地震による海底隆起・沈降のスピードを少なめに設定している(海底隆起・沈降のスピードが大きいほど津波の高さは大きくなる)。

 同じようにどちらのケースにおいても、スマトラ島北西端での計算波高が最大で4mに達している。マレー半島中部西岸にも津波の集中が見られ、計算波高は最大で約3m(ケース2)、約2m(ケース1)に達する。また、インド半島東岸とスリランカ東岸でも計算波高が高くなっている。事実、ケース2の場合で計算波高が2mを超える。一方で、スマトラ島の南東側及びバングラディシュへ向かう方向へは、距離とともに計算波高は小さくなっていく。これは、津波放射の指向性によるものと考えられる。


参考資料
山中佳子、2004.EIC地震学ノートNo.161,
http://www.eri.u-tokyo.ac.jp/index-j.html.
八木勇治、2004,
http://iisee.kenken.go.jp/staff/yagi/eq/Sumatra2004/Sumatra2004.html
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