JAMSTEC
平成12年11月1日


−平成13年度概算要求・新規着手課題の事前評価−
評価結果及びこれに対する対処方針

 海洋科学技術センターは、「海洋科学技術センターにおける研究評価のための実施要領」に基づき、平成13年度概算要求において新規に着手するとして予算要求を行う「重点的資金による研究開発課題(プロジェクト研究)」を対象とし、平成12年7月28日に研究課題評価委員会による事前評価を受けました。
  評価は、各評価対象課題の担当研究者が、以下の評価項目について説明資料(自己評価票)を作成し、補足資料も活用しつつ、研究課題評価委員会においてこれを説明し、質疑を受けました。評価委員は、担当研究者の作成した資料、発表内容、質疑をもとに、これらの評価項目について客観的な評価を合議により行いました。


(評価項目)
・研究開発の目的、目標、方向性の妥当性
・研究課題と研究開発計画・研究開発手法の妥当性
・研究開発費・体制の妥当性
・期待される成果・波及効果


    
−問い合わせ先−
海洋科学技術センター
研究評価推進室(企画部計画管理課)
中村 、藤森
TEL (046)867-9233 / FAX(046)867-9195
E-mail :evaluation@jamstec.go.jp


【対象課題一覧】

(1)
深海底ネットワーク総合観測システムの開発・整備
(2)

サンゴ礁再生技術の研究開発(「サンゴ礁・リフレッシュプラン」から名称変更)

(3)

亜熱帯循環系における観測研究のうち、
イ.黒潮続流域に係わる観測研究
ロ.海洋音響トモグラフィーシステムによる黒潮続流域の広域立体同時観測

(4)
極限環境維持技術の研究開発

(5)
地球観測フロンティア研究システム地球温暖化観測研究領域
(6)
固体地球統合フロンティア研究費
(7)

極限環境生物フロンティア研究費

 
−全体的な指摘事項−

をクリックすると、各課題の評価結果及びこれに対する対処方針が表示されます。

をクリックすると各課題担当者が作成した自己評価票が表示されます。

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【評価結果及びこれに対する対処方針】

1.深海底ネットワーク総合観測システムの開発・整備

−評価結果−

  ケーブルネットワークによる海底リアルタイム観測は海底研究分野では必須の課題であり、妥当である。
  しかし、提案された計画の規模の割には年次計画、何をどこまでこの中で作るのかなどの実施計画の検討が貧弱である。研究者全体を巻き込んだ議論に基づく緻密な計画立案作業が必要である。
  研究体制についても全日本の体制で海底環境モニタリングネットワークが出来る方向での体制作りを検討されたい。

−対処方針−

 年次計画については、ネットワークの基幹となる給電・通信手段の技術確立に3年、ネットワークに対応したセンサー類の開発に2年、地震調査推進本部により提示された優先順位の高い残る3海域への海域ネットワークの整備に4年を基礎とし、その後、ネットワーク相互間の整備に3年を見込んでいる。中でも給電・通信手段の技術確立は、ネットワークの拡張性を確保する上で不可欠であり、基本設計、試作、地上実験、浅海試験という4段階に分け、開発を進めることを考えている。本研究課題では、陸揚基地局から基幹ネットワーク部分(センサー類を接続するための情報コンセントを含む)までの開発・整備、及び地震調査推進本部の定めた基盤観測項目に該当するネットワークセンサーの開発・整備を行うこととしているが、情報コンセントの仕様は他国の深海底ネットワーク関係者と協議の上で決定し、広く国際的に公開することを検討している。実施に当たっては、ご指摘を踏まえ、更なる緻密な計画立案に勤めて参りたい。
  次に、計画立案・研究体制に関しては、システムの整備についてはこれまで「リアルタイム海底変動観測システム」計画検討委員会において検討を行ってきたが、基盤観測に含まれない観測項目について新たに海底長期観測検討委員会を設け、ネットワーク利用を含めた検討をしていく所存である。両委員会とも,国内の大学,国家研究機関,民間研究機関等から地球物理学観測において日本を代表する有識者を中心に構成されているが、海底環境モニタリングネットワーク観測についてはご指摘のとおり全日本体制には不十分である。今後海洋物理、地球化学、生物系の方々に委員をお願いするとともに、計画への参画を進め、海底環境分野でも全日本の研究体制となるよう配慮して参りたい。

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2.サンゴ礁再生技術の研究開発(「サンゴ礁・リフレッシュプラン」から名称変更)

−評価結果−

  本課題の目的は、サンゴの移植、サンゴ礁の再生技術の開発であり、この成果が適切に社会に還元されるという前提で評価できる。また、研究計画も現実性のある具体的なものである。
  ただし、サンゴの種類の多さ、移植によって着定しやすいものとしにくいものがある可能性に鑑みれば、種の多様性を保持しながらサンゴ礁を修復する共通技術を開発することは決して容易な課題ではない。
  研究体制について言えば国内の多くの研究機関、研究者と共同で行うことは評価できるが、水産庁研究機関等との交流についても検討されたい。

−対処方針−

 現在までサンゴの移植、サンゴ礁の再生に関し多種多様な試みがなされてきた。しかしサンゴの産卵・着床・生残・成長のメカニズムに関する情報が不足し、また長期的な見通しのもとでのモニタリングや事後管理などが不十分であったため、期待された成果は得られなかった。このような状況を踏まえ、本研究は、我が国最大のサンゴ礁海域である石西礁湖における、サンゴの産卵・着床・生残過程の調査研究の成果に基づいて計画された。特徴は、自然のサンゴ礁海域で生き残った強い稚サンゴを移植に用いること、稚サンゴを大量に得るための種々の技術開発を行うこと、またサンゴ礁生態系を再生するための長期的な海中・陸上研究を展開するという3点にある。基本は、サンゴの一斉放卵時期に合わせて幼生着床装置を設置し、それを本来の生育海域で保護して移植用稚サンゴを得る方式である。
  また御指摘のあった移植種の多様性の保持に関しては、数ヶ月に及ぶ各種のサンゴの産卵に合わせて適時着床装置を設置したり、着床基質・形状の選択を行うなどきめの細かい処置を講じることで対応して参りたい。
  研究体制については、平成12年度まではサンゴ礁生態系研究の段階であり、主として大学の研究者と協力してきた。平成13年度からは、サンゴの移植、サンゴ礁の再生という応用研究に移行するため、海洋生物の種苗生産や栽培漁業分野で多くの研究実績を有する国県の水産研究所・試験場等とも積極的な研究交流を行う計画である。

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3.亜熱帯循環系における観測研究のうち、
 イ.黒潮続流域に係わる観測研究
 ロ.海洋音響トモグラフィーシステムによる黒潮続流域の広域立体同時観測

−評価結果−

 黒潮の観測は、日本にとって重要なものであり、また、黒潮続流域についての観測は少ないので本課題の目標、方向性は評価できる。また、地球シミュレータによるモデルの検証用として重要なデータとなると考える。
  しかし、熱フラックスなどをどの程度の空間解像度・精度で観測でき、それが渦とどのような関係になるのかつながりが明瞭でない。解析・診断計画を明確化すべく更に検討されたい。
  研究体制についてはこの研究による観測だけでは研究目的の達成には十分な観測データを得られないと考えられるので、地球観測フロンティア研究システム、他の国内研究機関、ARGO計画等との調整・協力関係を明確にする必要がある。

−対処方針−

 本研究では、亜熱帯・亜寒帯循環の境界域で渦や黒潮続流など海洋中規模現象が海洋熱輸送にいかに作用するか、現象の物理過程及び熱輸送変動への寄与を把握する。海洋の熱輸送は、流れと水温から算出されるが、平均場としては黒潮続流と再循環が覆う海域(日本東岸からシャツキーライズに至る海域)全体での気候値、偏差成分としては黒潮続流や周辺の渦など約100kmの中規模現象を考えており、その分解には緯度の空間解像力数10kmと精度として水温0.1℃(亜表層)、流速2cm/sでの時系列観測が必要となる。本研究では、海洋音響トモグラフィーシステムを用いて広域の熱容量分布を100kmの空間分解能、0.1℃の水温精度で観測する。渦活動が活発な重点海域(東経150度付近)の南北測線に流速計と音響式水位計を配置(50km?70km間隔)し、海面から海底までの流れを2cm/sの精度で計測する。これらの観測結果と衛星データ(海面高度計)等をインバース法やデータ同化手法を用いた合成解析を行い、必要な空間分解能での黒潮続流の流量、熱輸送量を算出する。同時に、黒潮続流の変動、渦の力学構造、渦度フラックス等中規模現象の物理過程と熱輸送変動への寄与を解析する。
  北西部北太平洋全域を意識した観測研究の実施とそれから導かれる平均場及び長期変動の把握を行うためには、ご指摘のとおり、他の観測計画との連携が不可欠である。そのため、国内研究機関、地球フロンティア、地球観測フロンティア、国際太平洋研究センターの研究者と連携し、専門家グループを作り、研究者レベルから機関間レベルでの協議に高めるべく努力する。また、地球観測フロンティア研究システムにおいては、黒潮続流南方の亜熱帯モード水形成域にプロファイル・フロートを投入するとともに、海上保安庁との共同研究により黒潮再循環系に海面漂流ブイを投入することとしており、さらに、上流域である南西諸島海域で圧力音響式潮位計(PIES)アレイによる観測を実施することとしている。このような観測成果を本研究にも十分活用して参りたい。また、多くの国内研究機関が参加している科学技術振興調整費「北太平洋亜寒帯循環と気候変動に関する国際共同研究」との協力関係は既に確立しており、相補的な観測を行う予定である。

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4.極限環境維持技術の研究開発

−評価結果−

 深海環境フロンティアで開発された深海微生物実験システムをより高温・高圧で利用可能な実験システムに改良して極限環境生物フロンティア研究のために開発する目的は明確で妥当である。
  しかし、IODPで地殻生物研究がある程度進み、このような高温・高圧下での生命体の存在が確認できた時点で開発を本格化させるべきである。現段階では、そのような必要が生じた場合に直ちに装置を開発できるよう、各要素技術の研究を先行させるべきであると考える。

−対処方針−

 地下深部に様々な地殻生物の存在が確認されるようになり、地球深部探査船により到達可能な高温、高圧下の地殻内にも未発見の有用微生物が生息している可能性が十分にあると考えられる。従って、このような極限環境に生息する特殊微生物を対象とした高温・高圧で利用可能な実験システムの開発に向けて、本研究開発は早急に取り組むべき課題であると考える。しかしながら、本研究開発で対象とする特殊微生物の存在は地球深部探査船による科学掘削により初めて確認されるものであり、当該実験システムの開発に当たっては、ご指摘のとおり、まずは要素技術の研究を実施し、IODPでの地殻生物研究の進捗により極限環境下での生命体の存在が確認された時点で当該システムの開発に直ちに取り組むこととする。なお、実験システムの維持・制御温度及び圧力の開発目標値については、IODPにおける地殻生物研究の成果を踏まえ、必要があれば見直すこととする。

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5.地球観測フロンティア研究システム地球温暖化観測研究領域

−評価結果−

 本研究領域は地球フロンティア研究システムの地球温暖化予測研究領域に対応するものであり、研究目的、方向性は妥当である。
  地球観測実施に当たっては地球観測フロンティア研究システムの他の観測領域との相補性・協力及び既存の観測との整合性について注意されたい。また、地球フロンティア研究システムで行うモデル研究と乖離することがあっては問題であるが、観測自体に十分な研究要素があることにも留意する必要がある。また、観測網が粗い点に心配があり、データ同化の信頼性をどのように保証するか検討されたい。
  観測は継続性が重要であり、そのための体制作りが重要である。この意味で観測技術員制度が機能するよう期待したい。

−対処方針−

 他の観測領域との相補性・協力に関しては、まず、地球温暖化の人為的影響を理解するうえで必要な気候の自然変動については気候変動観測研究領域及び水循環観測研究領域が取り組むこととしている。また、海洋物質循環における物理過程については気候変動観測研究領域のプロファイル・フロート観測のデータを活用する。陸域でのCO2フラックス観測については、水循環観測研究領域の水・熱フラックス観測サイトをできるだけ活用する。さらに、水循環観測研究領域が有しているロシア、中国、インドネシア等との協力関係を活用して、これらの国々との協力を推進していく。
  既存の観測との整合性に関しては、気象庁、海上保安庁等の観測船、国立環境研究所等のボランティア船による既存のCO2観測データを活用するとともに、それらを観測空白域に拡大するに当たって、各省庁の観測船等の協力を得て研究を推進していく。同様に、陸域観測についても既存のCO2観測データを活用するとともに、それらを観測空白域に拡大するに当たって、各省庁の協力を得て研究を推進していく。また、海洋観測研究部の行っている観測研究との関係については海洋観測研究部では観測研究に必要な技術開発及びこの技術の実証に係る観測研究を行うのに対し、観測フロンティアでは開発された技術を活用した観測を行うこととしている。
  観測における研究要素の指摘に関しては、海洋における沈み込み・湧昇とCO2吸収・放出、Feなど微量金属が海洋生態系に与える影響、大気中鉛直拡散など、現在のところ、数値モデルで表現することが困難な現象の解明等の、観測自体に研究要素がある課題にも取り組む。その場合、予測結果に大きな影響を与える可能性があると考えられる重要な現象に重点化して取り組むこととする。
  観測網の粗さ、データ同化の信頼性についての懸念に関しては、観測域の重点化と広域化を効果的に組合わせたい。具体的には、海域での集中観測については、予測モデルの開発上のキーエリアと考えられる海域で実施することとし、「みらい」のほか、官庁船等及び他プロジェクトと協力して重要海域をカバーするよう努める。また、広域観測の手段として、プロファイル・フロート、同位体分析、ボランティア船観測など低コストの手段の活用、国際的に分担する計画への参加、衛星観測との連携等により観測エリアを広げるよう努める。陸域についても同様に観測サイトの重点化、観測手段の低コスト化、他プロジェクトとの協力、相手国から積極的貢献を得るなど、全体として観測エリアを広げるよう努める。なお、観測網が十分なものであるか、データ同化の信頼性が確保されているかについては、計画の推進過程においても常に検討を加えて参りたい。
  本研究課題における研究目的達成のために必要とされる観測の継続性確保に関しては、流動研究員制度のもとで継続性を確保するため、研究期間はI期10年、II期をあわせて20年と設定する。また、観測技術員、データ管理要員等は継続的に確保するよう努める。陸域では、相手国の研究機関に観測主体の比重を移していくことで継続性を確保するよう努める。さらに、海域観測のうち特に技術・経験の蓄積が重要な課題については、海洋観測研究部等が分担することにより、継続性が確保されると考えている。

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6.固体地球統合フロンティア研究費

−評価結果−

 固体地球科学の現在の基本的な主要課題を網羅し、魅力的な構想であり、大枠としての方向性は妥当である。また、大学との連携、領域長の専任などについて検討している点も評価できる。しかしながら、本課題については、少なくとも当初5年間程度について具体的な研究計画を策定することが肝要であり、研究課題の内容について現段階で事前評価することは困難である。このプロジェクトは将来長期にわたって日本の固体地球科学の研究動向を左右するものであり、具体的な研究計画の策定に当たっては、関連する研究者や研究機関との十分な議論と調整が必要である。
  また、実施に当たっては、全体を把握する強力なコーディネーターをシステム長(又は補佐)として置くこと、各グループがそれぞれどのような研究進捗状況にあるのか明確にし、常にアップデートしておくこと、相当数の外国人スタッフを導入することなどについて検討されたい。

−対処方針−

 本計画は今後の日本の固体地球科学の研究動向を左右するものとして重要であり、具体的な研究計画の策定に当たり関連する研究者や研究機関との十分な議論と調整が必要であることはご指摘のとおりである。これまでも学会のシンポジウムにおける議論をはじめ、24を越える大学・研究所を訪問し、研究計画案について議論を重ねてきた。さらに、今回の評価結果を受け、外部の専門家を入れた委員会を設置し、5年/10年を見越した具体的な実行計画案を策定することとしている。この実行計画案が策定され次第速やかに関連する研究者や研究機関と調整を行いたい。
  コーディネーターの設置は各領域間の成果や問題点の把握を速やかなものとする上で特に重要と認識している。マスコミ対応体制や、各領域間でそれぞれの研究進捗状況を速やかに把握・伝達する体制の確立を含め、具体的にどのような形でこれを置くか検討を始めており、本フロンティア研究が開始されるまでには具体化したい。外国人スタッフの導入に関しては、具体的研究推進のために必要な人材を広く世界から求めることとしている。

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7.極限環境生物フロンティア研究費

−評価結果−

 地下微生物学は発足から日が浅く、国際的に注目されている新分野であり、各国でもプロジェクトが次々と立ち上がりつつある。日本は極限微生物研究については先導的立場にある国の一つであり、IODPの重要研究課題の一つである本計画を緊急に立ち上げる必要性は高い。また、海洋性地殻は化学組成、熱流量など陸と異なる点が多く、生態系も異なる可能性がある。この点で海底をターゲットとした計画設定は評価できる。
  深海環境フロンティアの研究成果を更に発展させるものであり、これまでのフィージビリティスタディーも着実に進行しているようであるが、少なくとも最初の5年間についてはもう少し具体的な研究計画にする必要がある。また、応用研究についても、より具体性が欲しい。また、地殻内生態系研究領域についてはその定義から始まって、まったく新しい分野であり、研究目標、研究手法について今後検討する必要がある。
  研究体制については、国内外の研究者を多く巻き込むようなシステムにするとともに、若手研究者の育成にも配慮されたい。

−対処方針−

 当初の5年間の研究計画に関しては、現時点では次の表のように考えているところである。

平成13年度
14年度
15年度
16年度
17年度

・地殻コアサンプルの微生物汚染防止及び評価法の確立

・地殻コアサンプル中のDNA分析法の確立

・地殻コアサンプルの非汚染分割法の研究

・地殻コアサンプルの非汚染粉砕法の検討

・地殻コアサンプルの滅菌法の研究

・有害物質分解微生物の探索

・地殻コアサンプル中の微生物の直接観察法の開発

・地殻コアサンプルからの微生物分離法の研究

・地殻内有用微生物のゲノム解析

・高圧活性酵素の探索

・地殻コアサンプルからの微生物培養法の研究

・地殻内微生物の産出酵素解析法の研究

・極限高温環境微生物の探索

・高温活性酵素の探索

・始原的微生物の探索(各種タイムカプセルから)

・地殻内ウイルスの探索

・有害物質分解微生物の応用

・地殻内微生物の代謝及び代謝物の研究

 次に応用研究についてはゲノム解析技術、深海バイオベンチャーセンターを十分に活用し、以下の具体的応用を達成することを目標としている。
1)ダイオキシン、環境ホルモン、PCB等有害物質分解微生物の分離/培養
2)その他地球環境保全微生物の開発研究
3)ゲノム情報を活用した酵素活性向上
4)ゲノム情報を活用した新規酵素の発見

 また、地殻内生態系研究領域についての研究目標は次のとおりである。
1)地殻内のどこに、どの様な微生物が、どれだけいるかを明らかにする。
2)上記の結果を基に、地殻内のバイオマス量を明らかにする。
3)地殻内に棲息する微生物と、棲息場所の地質との相関を明らかにする。
(地質の微生物相への影響、微生物代謝物の地質/地殻への影響)
4)地殻内に棲息する微生物間の共生関係を明らかにする。
  上記の目標を達成するための研究手法に関しては次に掲げる手法の組み合わせを考えている。
1)地殻コアサンプルの深さ方向に関する微生物マッピング (光学顕微鏡、蛍光顕微鏡、DNA分析、注1)蛍光分析DNA増幅装置(蛍光PCR)、注2)末端制限酵素断片多型分析(T-RFLP分析)等)
2)地殻コアサンプルの深さ方向に関する地質マッピング (固体地球統合フロンティアとの共同研究で実施)
3)特殊環境に棲息する微生物の分離と培養(含:新規分離/培養法の研究)
4)共生微生物の分離と培養(含:新規分離/培養法の研究)
5)培養微生物の代謝及び代謝物の解析

  研究体制に関するご指摘に関しては、研究グループリーダーを国内外の公募で決定すること等により国内外の研究者を積極的に巻き込んで参りたい。また、若手研究者を積極的に採用し研究指導することなどにより若手研究者の育成を図り、研究基盤を強化・充実することとしている。

注1)蛍光PCR:通常の遺伝子増幅反応(PCR反応)を行う際に、蛍光色素をラベルした遺伝子プローブを併用することによって、リアルタイムに増幅産物の定量及び定性分析を行う方法。

注2)T-RFLP解析:遺伝子の末端を蛍光色素でラベルし、その蛍光を検出することによって、遺伝子の制限酵素断片(Restriction Fragment)における多型(Polymorphism)を解析する方法。

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全体的な指摘事項

−評価結果−

 全般的に以下の事項についてのコメントがあった。
イ)固体地球統合フロンティア研究のような長期にわたる組織の新設も含む大規模な研究課題と通常の研究課題を同じ様な手法で評価することには困難がある。特に組織の新設も含む大規模な研究課題の事前評価に関しては、これまでの国内外での検討の経過等も含めた資料も必要である。このような大規模な研究課題の立ち上げに関しての評価体制についても検討されたい。

ロ)昨年度中間評価したばかりの研究課題について今回事前評価の対象となったものがある。事務局側の説明によれば、研究方向の大幅な変更があったため再度評価対象にしたとのことであるが、研究課題数が多いため全体像を把握しにくい。独立行政法人海洋研究開発機構のプロジェクト研究全体の一覧表を提示されたい。

ハ)予算と人のバランスの点で見れば、一般的に予算に比べて研究者数が過少であり、国内外の他の研究機関との連携強化などの対応が必要ではないか。

−対処方針−

イ)固体地球統合フロンティア研究のような長期にわたる組織の新設も含む大規模な研究課題については、例えば(1)研究課題評価委員会開催前に専門部会で検討を行う、(2)当該課題のための専門の評価委員会を設定するなどの措置を講じることを検討したい。
  また、このような課題について評価を実施する際には過去の国内外での検討の経緯等を示す資料を提出することとしたい。

ロ)独立行政法人海洋研究開発機構のプロジェクト研究全体の一覧表を作成し、提供する。

ハ)国内外の他の研究機関との連携の一層の強化に努めるとともに、必要とされる認可予算上での機構・定員の拡充、客員・流動・特別研究員制度やフロンティア研究制度を活用し、研究体制の充実に努める。

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