21世紀気候変動予測革新プログラム

気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)展示参加報告

  海洋研究開発機構 林 千絵


会場となったポーランドのCongress Centre Poznan International Fair (PIF)

  ポーランドのポズナニにおいて、国連気候変動枠組み条約第14回締約国会議(COP14)、および、京都議定書第4回締約国会合(COP/MOP4)が開催されました。今年は、京都議定書の第一約束期間が始まり、また、環境・気候変動に大きな焦点があてられたG8北海道洞爺湖サミットが開催され、世界中の関心がさらに高まった年でもありました。COP14は、来年のポスト京都の枠組みにつなぐ重要な会議ということもあり、条約事務局が発表した参加者リストによると、191カ国、国際機関、非政府機関(NGO)など464機関、メディア371団体などの総数9,252名と大勢の参加者が集まりました。

会場の外でも、様々なパフォーマンスやオブジェクトでにぎわっていた。

 21世紀気候変動予測革新プログラム(以下、革新プログラム)は、スタート時より、研究活動とその成果に関して国内外に広く情報の発信を行っていることから、同時開催された展示イベントに今年も参加することを企画してきました。

 

  今年は、文部科学省としては、12月10日から12日までの3日の間、日本ブースにおいて、昨年に引き続き、広報委員会事務局である独立行政法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)の林が展示ブースの企画・運営を担当し、会場での成果の解説を同機構近藤特任上席研究員(革新プログラム事務局長)が担当しました。大型モニターにて地球シミュレータを活用した研究成果シミュレーションを紹介しました。

<コンテンツメニュー>
・海洋による二酸化炭素の吸収量(NHK提供)
・全球雲解像モデル
・動的全球植生モデル
・地球温暖化シミュレーション(チームマイナス6%提供)
-地表面変化
-降水量変化率
-土壌水分量の変化率
-海面水位の変化
-雪氷面積
・ミャンマー付近のサイクロン(現在気候再現実験、将来気候予測実験)
・日本付近の台風 (現在気候再現実験、将来気候予測実験)
・中米・北米のハリケーン(将来気候予測実験)
・ブラジル沖の熱帯低気圧(現在気候再現実験)

 今回も途切れることなく、多くの熱心な来場者に訪問いただきまして、近藤特任上席研究員に気候モデルに関する様々な質問を積極的に行っている場面が見られました。特に研究成果に強い関心を示され、是非にとシミュレーション動画を希望された、ネパール政府の首相アドバイザー、ニュージランド環境・観光省関係者、トルコ政府気候サービス局の研究とデータ処理の担当研究者、ソウル大学の学生、NHKをはじめとした各国のマスメディアの方々等には、我々の研究成果の理解に活用していただけるよう成果の一部をDVD配布いたしました。

来場者からの質問に対応する近藤事務局長

 今回のイベント参加を通じて、今や世界の主要課題の1つとなった地球温暖化をはじめとした気候変動の問題について、「研究」という側面から我が国の取り組みをアピールする機会となりました。来年は、いよいよIPCC AR5に向けての議論がスタートし、COP15では2013年以降の枠組み交渉がまとめらます。革新プログラムをはじめとした様々な研究活動による科学的知見が、政策決定をする上でもますます重要な役割を担うと期待されています。

<会合参加報告は、こちら(IPCC WG1国内支援事務局ホームページ)よりご覧いただけます。>

COP14および展示会場(一部)の様子

環境活動家 ワンガリ・マータイ(Wangari Muta Maathai)氏
Climate Action Networkの化石賞発表は連日の盛り上がっていた