21世紀気候変動予測革新プログラム

21世紀気候変動予測革新プログラムとは

すべては限りある命のために。

概念図

背景
我が国の科学技術政策として、平成18年度から施行されている第3期科学 技術基本計画で4重点分野の一つに指定された環境分野においては、地球温暖化や エネルギー問題の克服、環境と調和する循環型社会の実現という政策目標にむ け、6つの研究領域が設定されました。
そのうちの気候変動研究領域は、世界で地球観測に取り組み、正確な気候変動 の予測及び影響評価を実現し、また温室効果ガス排出・大気汚染・海洋汚染 の削減を実現するという政策目標の達成をめざすとされています。

最新の科学的知見からは、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の第4次評価 報告書(AR4, 2007)において、温暖化の現実化を確認し、その原因が人為起源である ことをほぼ特定するとともに、将来予測に関して、気温や海面水位の上昇、 極端現象の増加傾向などが報告されました。
近年、世界各地で異常気象や極端現象が多発あるいは激化しており、上記の 評価結果は、社会の懸念を増大させています。このため、近未来の極端現象の 予測とそれによる自然災害への影響評価は、極めて身近な課題となっています。 また、長期安定化の問題では、炭素循環の新たな知見をより進展させた予測が 重要度を増しています。一方、最大の不確実性とされる雲のフィードバック、 氷床からの氷流出過程、上記の炭素循環のフィードバックなどは、今後挑戦 すべき諸過程の課題も評価報告書で指摘されており、それら不確実性の定量化 や低減の必要性も増大しています。

目標・概要
平成14〜18年度において実施された、人・自然・地球共生プロジェクト(以下、 「共生プロジェクト」という。) の温暖化予測「日本モデル」ミッションで は、スーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を活用して、気候変動に関 する政府間パネル(IPCC)第4次評価報告書に、先端的でかつ中心的な成果を 挙げました。
21世紀気候変動予測革新プログラムは、第3 期科学技術計画の下で、「共生プロジェクト」の成果を基盤とし、引き続き 「地球シミュレータ」の活用をはかり、想定されるIPCC第5次評価報告書への 寄与と、気候変動対応政策への科学的基礎の提供を目的として、文部 科学省により、5カ年計画(平成19年度〜23年度)で実施されています。 研究項目として、温暖化予測モデルの高度化および予測、モデルの不確実性の 定量化・低減、および予測情報に基づく自然災害に関する影響評価に 取り組んでいます。

研究体制図
研究の焦点を、100年を超える長期予測、30年程度先の近未来予測、極端現象の変 化予測、および微物理過程研究(気象、海象)にわけ、最初の3つに関しては、 温暖化予測モデルの高度化および予測、モデルの不確実性の定量化・低減、 および自然災害に関する影響評価の各研究課題の計画的・効率的な研究推進を 容易にするため、研究チームを編成し実施する体制を作りました。