21世紀気候変動予測革新プログラム

目的・概要

平成14〜18年度において実施された、人・自然・地球共生プロジェクト(以下、「共生プロジェクト」という。) の温暖化予測「日本モデル」ミッションでは、世界最高級の性能を有するスーパーコンピュータ「地球シミュレータ」を活用した各課題チームが、IPCC第4次評価報告書に、先端的・中心的な反映をもたらす成果を挙げた。
21世紀気候変動予測革新プログラム(以下、「革新プロ」という。) は、第3期科学技術政策の下で、「共生プロジェクト」の成果を基盤とし、引き続き「地球シミュレータ」の活用をはかり、諸課題に取り組むことにより、想定されるIPCC第5次評価報告書へ寄与し、気候変動対応の政策へ科学的基礎を提供することを目的として、文部科学省により、5カ年計画(平成19年度〜23年度)で策定・実施されている。

革新プロは、以下の3つの研究項目で構成される。

A: 温暖化予測モデルの高度化および予測:


地球規模から河川流域までの幅広いスケールにおいて複雑な大気・海洋・陸域の物理過程、生物・地球化学過程を考慮した温暖化予測モデルを発展させ、確度の高い高解像度の温暖化予測を実現する

B: 不確実性の定量化・低減:


複数のモデル、データセットを用いた計算プロセスの比較及びデータ同化手法(データの時間的、空間的補完)の開発を通じ、予測実験結果の不確実性を定量化し、その原因究明と改善策の確立により、不確実性の幅を低減する。

C: 自然災害に関する影響評価:


予測情報に基づき、気温、降水量、風速などにかかわる極端現象(台風、熱波、集中豪雨、高潮、豪雪、干ばつ等)の頻度や強度に注目した解析を通じて、社会的被害のリスク評価など、自然災害への影響評価を行なう。

また、革新プロでは、上記各研究項目の有機的な連携による全体の円滑な実施を図るため、研究統括の下に調整委員会を、また対外的な広報活動のため、広報委員会がそれぞれ設置されている。また、革新プロの予測成果は、同時期に実施されている、環境省地球環境研究総合推進費による、自然災害以外の分野における包括的な影響評価研究との連携に資する。