西澤 学
Manabu Nishizawa Ph.D.
専任研究員
実際の年齢よりも若く見えると評判の西澤さんは、プレカンが誇る優秀な専任研究員。ファッションセンスはピカイチで、特にカラーコーディネートが素晴らしい!インタヴューの日は、研究航海でグアムに行った際に買われたという鮮やかなグリーンの腕時計をモノトーンの洋服にスパイス的に効かせて、パチリ。(左・写真)それではさっそく、西澤さんのさらなる魅力に迫ってみましょう!
★ 現在、どのようなテーマの研究をされていますか?
深海の熱水活動域における微生物の活動と窒素循環の関わりについて研究しています。体の主成分としてもエネルギー代謝物質としても重要な窒素は、微生物を基底とする生命活動と環境の相互作用によって特徴的な振る舞いを示します。いろいろなタイプの熱水活動域での窒素の挙動を調べることで、地球と生命の歴史、その進化過程を明らかにするというのが研究のテーマです。特にプレカン時代(カンブリア代以前の時代)の地球史や生命の起源に迫ることが目標ですね!
★ 専門や好きな分野は?どのような道を経て今の研究に辿り着きましたか?
東京理科大学の物理学科出身です。学生時代は地球物理学というジャンルに惹かれ、オーロラの研究(大気物理学といいます)などを行いたかったのですが、結局卒論研究では大気中のエアロゾルをテーマに選びました。ところがオーロラもエアロゾルもそうですが、こうした観測系の研究は時間がモノをいう研究なので、それこそ10年、20年と観測を続けなければなかなか真実を語れません。そこで、自分にはそれほど長期間待たなくても結果を出せる研究が合っていると思い、修士号取得のため広島大学の大学院へ進んだ時は地球史解読を選びました。そこでは、地質試料の年代測定を行いました。ところが、正直言って修士課程で行っていた研究はあまり面白いものと思えませんでした。「せっかく修士まで来たのに、研究を楽しく思えないなんて、あってはならないことだ!」と問題を認識しました。そこで、自ら動き始めました。当時、広島大学では東京工業大学から岩石試料を借りて分析を行っていたのですが、こうなったら東工大へ直接行って、色々なサンプルを見たり話をきいたりしようと決めたのです。それからは東工大に頻繁に足を運ぶようになりました。その頃から研究に対してさらなるやる気が出て来たので、博士課程へ進む決心をしました。そしてさらに地球史解読の研究を続けましたが、地層記録から想定された太古の微生物活動が本当に再現できるのか検証したくなり、JAMSTECのプレカンラボに来ました。今は岩石はもとより、微生物を扱うことが出来てとても幸せです。
★ では、初めてサイエンスに興味を持ったきっかけについて教えてください。
そうですね・・・高校か大学の時だったと思いますが、NHKスペシャルで生命の進化についての番組を見ました。オーストラリアのピルバラという場所の地層について説明していて、微生物活動が原始地球環境に与えた影響のすごさを実感しました。その頃から本格的に地球や生命の歴史に興味を持ち始めました。
★ 研究をしていて、特に楽しいのはどんな時ですか?
実験をして、予想していた通りの結果が出ると嬉しいです。あるいは逆に、全くの予想外の結果が出ても、「謎を解きたい欲」が高まりますね。それと研究は「絶対うまくいく。」と思うものと、「やってみるか!」という感じのチャレンジングなものを半々くらいでやったほうがいいと思います。今行っている熱水の窒素循環の研究は、「きっとうまくいく・・・」と心の中で思っている密かに自信満々なトピックでもあります。
★ 最後の質問です。西澤さんのご趣味は?
Scuba diving! タヒチやフィジーなど、海のきれいな所へ研究航海で立ち寄ることが出来るときは、必ず潜ります。
★ インタヴュー後の感想 by 館洞
「おしゃれでお若く見えるだけではなく、その心の内には大いなる野望と実力が息づいていた・・・。」←これが私のインタヴュー後の感想を短くまとめたものです。今までじっくりと西澤さんとお話をしたことがなかった私は、彼の、スケールの大きい考え方と、果敢にも大きなテーマ「生命の起源に迫る」にアタックする勇気に直接触れることが出来ませんでした。しかしその核心に迫るお話を聞いてしまった今はもう、大満足です。あとは、西澤さんの論文が世界から高く評価される日を待つのみです。
人見知りなさるとのことで、一見すると真面目で静かな方のような印象を持つ人が多いかもしれませんが、実は明るい笑顔が魅力の、自ら積極的に動くフットワークの軽いサイエンティスト。特に、修士時代に、つまらなくなりかけていた研究の日々に半ばうんざりし、そこで自ら動いて別の大学に出掛けて行ってさらに自分を高め、楽しもうとし、見事成功し博士課程へ進もうと決心したというストーリーは、西澤さんの研究者としての素質を明々白々と示していると思われます。また、大学院へ進むことに理解を示して下さったご両親へ対する感謝の気持ちについても語って下さり、その謙虚で感謝の心を忘れない姿勢も、研究者の方々に共通する素晴らしい点だと思いました。知りたいと思ったことはとことん追求し、つまらない時には手を打つ。知的好奇心満載の西澤さんは、楽しいことも大好きで、南の島の海では潜って美しい自然を堪能するという、「オン・オフ切り替え上手」でもあります。世界でも深海の窒素循環について研究をしている研究者は少なく、これを直接検証しようという西澤さんは、必ず成功すると私は信じています。
高校時代に物理学や地学に興味を持ち始めたとのことでしたが、私の印象では、基本的に数学的思考をされる方だろうなという感じです。きちんと、細部にわたるまで、正確に答えを出していきたいという思いが伝わって来ます。この緻密さは、証明には時間が少しかかるかもしれないけれど、いざ結果を発表となったら、誰も突っ込めないような完璧な証明をするであろうという希望を私に抱かせます。高井UL(ユニットリーダー)には「君の実験は無駄が多い!」等と言われることもあるそうですが、それは細かいところもしっかり確認してから成功したと言いたいという思い、つまり几帳面さと慎重さがうかがわれると私は思います。安定した情熱を研究に注ぎ続ける西澤さん、応援しています!
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