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数理科学・先端技術研究開発センター(MAT)

研究者紹介

大島逸平(Ippei Oshima)

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ポストドクトラル研究員
国立研究開発法人 海洋研究開発機構
数理科学・先端技術研究開発センター
計算科学・工学グループ

〒236-0001 神奈川県横浜市金沢区昭和町 3173-25
i.oshima_at_jamstec.go.jp


Short CV

複雑な物理現象を明らかにした上で現象をモデル化することで,複雑な物理現象を制御する研究を行っています.
① ガスタービンの燃料噴射技術の技術革新を目指した研究 (2012年~)
② 地熱発電の蒸気タービン技術の技術革新を目指した研究 (2019年~)

Employment

2019年4月〜2019年5月 神戸大学大学院 海事科学研究科 学術研究員
2019年6月〜現在 (国)海洋研究開発機構 数理科学・先端技術研究開発センター(MAT) ポストドクトラル研究員

Education

2013年4月〜2015年3月 神戸大学大学院 海事科学研究科 海事科学専攻 博士課程前期課程
2015年4月〜2019年3月 神戸大学大学院 海事科学研究科 海事科学専攻 博士課程後期課程

Research Topics

ガスタービンの燃料噴射技術の技術革新を目指した研究
 船舶,発電,航空機で用いられるガスタービンは燃費低減,CO2,NOXの排出量削減を両立させるため,燃料噴射制御技術の技術革新が求められています.ガスタービンで用いられる燃料噴射弁を簡単化した平面液膜式燃料噴射弁による液膜微粒化過程の高速度画像を下図に示しています.燃料噴射弁から噴射された燃料液膜は,液膜と並行に噴射された高速気流により噴射弁近傍では液膜と周囲気体との相互作用によって変形し(初期変形過程),その後液糸・液滴へと微粒化します(一次微粒化過程).その後,その過程でできた液糸や粗大液滴がより微細な液滴へと微粒化します(二次微粒化過程).画像で見ると一見簡単に見える微粒化現象でさえ,実験を必要としない微粒化特性の予測技術の確立はできていません.
 このように,液膜の初期変形は一次微粒化に,一次微粒化は二次微粒化,つまり最終的な噴霧特性に強く影響を及ぼしています.しかし,従来研究ではこれら過程の相互作用が十分に考慮されていません.そこで,私は微粒化過程の素過程と各過程の相互作用に着目して研究を進めています.数値解析,可視化計測,光学計測や理論解析を協調して行うことで,気流による液膜微粒化過程の解明と微粒化制御技術の確立を目指して研究を行っています.
研究の進め方

地熱発電の蒸気タービン技術の技術革新を目指した研究
 地熱発電は,昼夜を問わず安定して発電が可能である再生可能エネルギーとして注目されています.地熱発電では蒸気タービンを用いてエネルギーを回収します.蒸気タービンは火力発電をはじめ熱エネルギーを効率的に電力に変えることができることから幅広く利用されています.火力発電では燃料を燃やして水を蒸気化するのに対し,地熱発電ではマグマの熱で暖められた地中蒸気を用いています.
 地熱発電で用いている蒸気は腐食性が高く,タービンの作動条件は決して易しいものではありません.また,タービンの耐久性や効率の向上が重要な命題である一方で,タービン内で何が起きているのか明らかになっていません.したがって,タービン内で何が起きているのかを正確に把握する必要があります.そこで,タービンの耐久性や効率に影響を与えているとされるタービン内で生成される粗大液滴に着目し,その生成メカニズムの解明と粗大液滴を取り除く機構の最適化を目指した研究を行っています。

Publications

Original Publications (Peer-Reviewed)

  • Ippei Oshima, Akira Sou: Numerical Simulation of Liquid Sheet Deformation Caused by Air Flow, Transactions of the Japan Society for Aeronautical and Space Sciences, Aerospace Technology Japan Volume 16, Issue 4, Page 319-327, 2018.
  • Ippei Oshima, Akira Sou: Longitudinal Oscillation of a Liquid Sheet by Parallel Air Flows, International Journal of Multiphase Flow, Volume 110, Page 179-188, 2019.