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海洋掘削科学研究開発センター

東北地方巨大地震先端部掘削

概要

2011年3月11日に宮城県沖を震源とするM9の超巨大地震、東北地方太平洋沖地震が発生しました。

この地震では、震源付近のプレート境界断層が海溝軸付近で水平に50m、垂直に7mもの滑りを生じたことが、海底地形や測地学データから推定されました(Fujiwara et al., 2011ほか)。海溝軸付近の大きな断層滑りにより、あの巨大な津波が発生したということが、津波データに基づく数値計算から指摘されています。

東北地震で、なぜ50mもの浅部断層滑りが生じたのか、そしてそれは東北のみの「特殊事情」なのか。それを明らかにするため、「国際深海科学掘削計画(IODP)」の一環として、地球深部掘削船「ちきゅう」を用いた掘削調査「JFAST」が行われました(図1)。

図1
図1 JFAST掘削サイト

成果

東北地方太平洋沖地震における巨大地震・津波発生メカニズムの解明」について、2013年12月6日付でJAMSTECからプレス発表をしております。

以下に一部を引用します:
「得られた地質試料、孔内計測データ、長期孔内温度観測などのデータから、東北地方太平洋沖地震の際に日本海溝軸付近の浅部プレート境界断層が地震性滑りを起こしていたことを科学的に実証し、これまで常識とされてきた「プレート境界断層浅部では地震性滑りは起きない」という考えを根本から問い直す、極めて重要な結果を導きだしました。これにより巨大地震発生時における断層の滑りメカニズムや巨大津波の発生メカニズムの解明に向けて大きく前進しました。」

論文の概要

東日本大震災を引き起こしたプレート境界断層先端部は、厚さ5m以下であり、これまで考えられていたものより極めて薄い断層帯であることを発見しました。
断層の地質試料を用いた室内試験により、断層物質が強度の弱い粘土からなることと、地震時に断層の摩擦発熱により断層物質の隙間に存在する水が膨張することで、断層が滑りやすくなったことを発見しました。
掘削孔内に設置した複数の温度計測装置の結果から、プレート境界断層において周囲より0.31°C高い温度異常が見つかり、地震発生時の断層の摩擦係数が極めて小さかったことを発見しました。

詳細は以下をご覧ください:
http://www.jamstec.go.jp/j/about/press_release/20131206/

今後

海溝付近の滑り挙動のさらなる解明にむけて、浅部掘削を行う掘削提案が提出されています(JTRACK)。