今日はOBSの回収。

2013/03/06

YK13-03首席研究者
中村 謙太郎(海洋研究開発機構 システム地球ラボ)
宮崎 淳一(海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域)

YK13-03航海がはじまって今日で1週間。
日本はWBCで盛り上がっているのでしょうか?
こちらは「宇宙征服」を目指し、調査を進めているところです。

朝7時に、一晩中行われていたエアガンによる調査が終了しました。
今回の調査では、エアガンから発生して、地中深くを旅してきた音を聞くための耳が、2種類用意されています。
一つは、エアガンと同様に船尾から数百mほど流して引っ張るストリーマーと呼ばれるマイクで、もうひとつは1月の航海で調査地域の海底にあらかじめ沈めてあるOBSと呼ばれる地震計です。
朝の調査終了とともに、エアガンとストリーマーは即座に回収されました。
それが済むと、次は海底に沈んでいるOBSを浮上させて回収し、記録されているデータを抜き出す作業に入ります。

1月から暗黒の深海底でひっそりと働き続けてきたOBSに、船上から「お疲れ、もう上がってきていいよ」の信号を送ると、なんと一人で勝手に仕事を切り上げて浮上してきます。
火星を探査中の「キュリオシティー」も真っ青な最新技術・・・・・とまでは言えませんが、たいした奴です。
さらに、海面まで浮上すると、今度は「僕はここにいまーす!」とビーコンを発信するので、それを頼りに船は救出に向かいます。
有能なOBSも、大きさはせいぜい直径1m程度です(写真)。見渡す限りの青い海の中から、この小さな巨人を見つけ出すのは、簡単な仕事ではありません。
ブリッジから、海の男たちが双眼鏡を片手に目を凝らして海面を見つめます。
そしてついに発見の時が。
波間に漂うOBSに、速やかに船を寄せて回収を行います。
鍵のついた長い棒で、OBSを釣り上げる様は、まぐろ漁船を彷彿とさせてちょっとワクワクします(写真)。
甲板に引き上げられたOBSは、すぐさま捌かれ(解体され)て、データを回収されます。
長い深海での一人のお仕事、本当にお疲れ様でした。

さて、「帰っておいで」信号を送ってから、回収まではザックリ2-3時間かかります。
これが、OBS一個を回収するのに必要な時間です。
今回、この海域にはOBSが21台、さらに似たような装置でOBEMというもの(これは、いずれまた説明したいと思います)が16台、合計37台設置されています。
全てを回収し終えるまで、漁は続きます。
大漁旗をはためかせて日本に帰れるのは、いつになるのでしょうか・・・・・?
がんばらなくてはっ!


写真1:浮上したOBSが無事に見つかりニッコリ


写真2:よーし揚げるぞ!!