帰ってきたゼ

2013/03/12

宮崎 淳一(海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域)

つ、ついに!
船は逃げても、魂は置いてきたあの調査海域に、ついに戻って来たのです。
この日、この時を一日千秋の思いで待ち焦がれていました。
さあ!やってやるぞっ!!

とはいえ、航海の前途はまだまだ決して楽観できるわけではありません。
特に、調査の目玉である「しんかい6500」による潜航調査を行うためには、近寄れないほど荒れ狂っていた調査海域に、穏やかな海を取り戻す必要があります。
一つ前のYK13-02航海以来、1ヶ月もの間、船で近づくことすら拒んでいる調査海域に、ベタ凪を取り戻すことは、はたして出来るのでしょうか!?
そして、予定していた調査はどこまで進めることが出来るのか?

そもそも、予想のつかない天気に翻弄されつつ、デリケートな調査を行うのですから、当初の調査計画なんて有って無きが如く。
ひとたび調査に入れば、変更変更また変更のアドリブの嵐です。
そんな時、悲観してたら体が持ちませんし、楽観してたら危機に対応できません。
そこで大切なのは、基本中の基本「最善を望みながら、最悪に備える」ことです。
イザという時頼りになるのは、やっぱり基本です。
これを肝に命じつつ、今日も新たな調査計画の策定に脳ミソをフル動員しているのです。

さあ!ここから潜航、潜航、潜航、潜航!
潜航の連続記録を打ち立てて、調査をコンプリートするぞっ!
え?
もし、また天気が悪くなって潜航が出来なくなってしまったら?
大丈夫、ワシに秘策がありますけん!!


写真:ここでクイズです。これは何に使われるものでしょうか?


写真:正解はマーカーです。過去に訪れたことのある場所に「もう一度行きたいっ」というときのために、道しるべとして海底に設置するものです。しんかい6500のライトに反射するので、遠くからでも認識することができます。数字はマーカーの番号で、研究者は「この番号のマーカーの地点に行きたいと指示することができます」(YK13-02航海の第1324潜航から)