番外編「"生きた"スケーリーフットを持って帰る その2」

2013/03/29

宮崎 淳一(海洋研究開発機構 海洋・極限環境生物圏領域)

現在(採取から13日目)の黒スケ生存数: 14匹 (前日比 -1匹)
日本到着まであと2日 (採取から16日目)
4/2の見学会まであと4日 (採取から18日目)
4/4の見学会まであと6日 (採取から20日目)
黒スケーリーフット最長飼育記録更新(採取から19日目)まであと5日

あぁぁぁ〜
本日もまた黒スケ勇作くんの死亡が確認されました・・・・
昨日の写真の顔を出している子の隣・・・実は怪しかったんです~~(>_<。)\ 。
今朝もう一度確認すると、やはりお亡くなりになっていました。

これで残りは14匹です。
そして、見学会が定員に達したとの連絡が・・・なんとかあと1週間がんばって欲しいです。
明日は最大の難関、輸送がはじまります。

【Wの悲劇】
2009年にも「生きて持って帰る」という挑戦が行われた。
1つ目の挑戦は今回と同じように飛行機で持ち帰り・・・これは江ノ島水族館で1日だけ公開された。
もう1つの挑戦は・・・我々のグループ内ではWの悲劇と呼ばれている。

2009年11月、YK09-13 Leg2航海が終了したが、一人残る男Wがいた・・・
そのまま船に乗って日本に帰るのである。
なぜか?
それは黒スケを日本に"生きて"持って帰るためであった。
普通研究者は飛行機に乗って帰るのだが、あえて飼育機器の揃った船を選択した。
日本までは20日間の航海となる。
海賊頻出海域の通過、「よこすか」が最大パワーでエンジンを回しても1ノット(通常16ノット出ます)しかでない強風及び高波にあうなど、なかなか寝付くことができず、体力が大きく消耗する中、黙々と世話をし続ける・・・
しかし、日本が近づくにつれ徐々に生きているスケーリーが少なくなってきた。
なんとか・・・なんとか・・・その男Wは気力を振り絞った。
しかしながら、あと2日というところで、最後の1匹が死亡した。
あぁぁぁ、そのときの男Wの心は相当沈み込んだことが想像される・・・
その男W、和辻智郎が再び黒スケを生かして日本に持って帰ることに挑戦している(ただし、今回は飛行機ですが・・・)
[以上の話は和辻さんから聞いた話を宮崎が想像して書きました、実際は多少の違いがあるかもです]


写真1:本日の黒スケ様たち。写真の子達はみな生きています。このままいって欲しいです。


写真2:必殺飼育人・和辻研究員