潜航2日目

2013/04/24

舩窪 舞(海洋研究開発機構 広報課)

引き続き、本日もサンパウロ海嶺を「しんかい6500」で攻めます。
昨日と同じく崖下に着底して航走を開始し、崖を正面に登って何か面白いものを見つけてやろうという作戦。
今日の潜航者はJAMSTECの藤原さんです。


写真1:潜航服に身を包み「しんかい6500」に乗り込む藤原さん。


写真2:青いAフレームクレーンで着水。26.7トンもある「しんかい6500」の吊り上げ、吊り下げ作業は乗組員と「しんかい6500」運航チームの一糸乱れぬ連携プレーの賜物。

「いやあ、化学合成生物群集が見つかるといいですね!」と潜航への期待を述べて「しんかい6500」に乗り込んでいきました。

化学合成生物群集とは、光合成を元にして生きるわれわれと異なり、光の届かない深海で、地球内部から湧き出る化学物質をエネルギー源としている生物たちのことです。水素や硫化水素を酸素と結合させるときに出るエネルギーを使って、二酸化炭素から有機物を生み出す細菌がおり、さらにその細菌を体の内や外に住まわせ、取り入れて生きている生物たちがいるのです。

サンパウロ海嶺はまっすぐに切り立った崖が東西数百キロメートルに渡って続いていることが今までの調査で分かっています。
これはプレートの動きによって、地面が割れて押し上げられた地形と予測され、地球の地下深くからの岩石が露出している可能性があります。
露出した岩石は海水に反応して、蛇紋岩(じゃもんがん)という石に変化し、その変化に伴って水素が湧き出し、その水素によって生きる化学合成生物群集が見つかるのではないかということで、蛇紋岩があるか?化学合成生物群集がいるか?深海に見に行こう!というわけだそうです。

深海映像や画像はまだお見せできないのが残念ですが、多くの興味深いサンプルが採取できたようです。


写真3:夜は、今日の潜航報告と明日の潜航計画、採取されたサンプルの配分について全員で話し合いが行われ、その後サンプル処理の開始。サンプルが大量のときは「今日は何時までかかるかなー」と嬉しい悲鳴が聞こえます。


写真4:「深海生物は美しい」と語り、写真にこだわる藤原さん。「図鑑などでは半分溶けているようなドロドロしたイメージだけど、採取したばかりの本当の深海生物の姿を記録に取り、皆さんに紹介したい。」