潜航域に到達

2013/10/25

木本 徹(海洋研究開発機構 研究支援部)

10月25日、潜航ポイントであるルイビル海山列のカノパス海山、オズボーン海山の地形の調査を行いました。「しんかい6500」が潜航を行う前に、海底地形を把握することは調査だけではなく、安全を確保する上でも重要です。これにより、マップを作成し着底点や潜航コースの詳細を決定したので、あとは潜航を待つのみです。
船の格納庫では、一日中明日の潜航に向けて、ペイロード(生物採集装置や、各種測定装置)を「しんかい6500」に搭載すべく準備を行っています。
前人未踏の海底大山脈、ルイビル海山列は、すでに我々の真下にそびえたっています。

QUELLE2013航海を支える料理の海人たち
航海の楽しみであり、なくてはならないのは、料理・食事であることは言うまでもありません。今回は、「よこすか」の厨房を取材しました。司厨長の佐々木さん、司厨手の田中さん、國田さん、其田さん、清水さんの計5名が乗船されています。

佐々木司厨長は、生粋の船の料理人で44年目のベテランシェフ。海に面した国のほとんどに行ったとのこと。南極海域までも経験済。「よこすか」の厨房に入れてもらいましたが、床が船の中央からほんのわずかに左右に傾斜をもつ設計になっています。傾けて作られた床はすべりやすいだけではなく、船の厨房での固定した持ち場によって、右足だけ、あるいは左足だけに重心をかけることになるので、重心をかけたほうにはタコができるとか。もちろん佐々木さんは包丁を握る手だけでなく足の両方にタコがあります。ローリングの強い時などの包丁さばきが気になりますが、ローリングのリズムに合わせた動きをするので大丈夫だそうです。もちろんシケの厳しいときは、物が飛んだりして危険なこともあるということでした。
航海中の献立ですが、航海の日数の長短を考えて、おおよそのイメージをつくり日本で食材を積み込みます。青物は日数がもちませんので、長い航海だと外国の寄港地で調達ということになりますが、現地のスーパーからではなく市場から直接、値切り交渉をして買い付ける苦労があると伺いました。人気のあるメニューはカレーやラーメンなどだそうです。はたして、今回の航海で研究員はカレーを食べることができるのか?
今回のように外国の研究者も多数乗船することもあり、さしみが苦手な方には、特別サービスで焼いたり、揚げたりもありです。
これからも、厨房の皆様、どうぞよろしくお願いいたします。


写真 料理の海人の5名。毎日の打合せと調理風景、研究者の食事風景