海洋生態系動態変動研究グループ

海洋酸性化を主とした環境ストレスに対する海洋生態系の応答研究

海洋酸性化の進行が世界的に最も深刻な海域の中で、北太平洋亜寒帯域および北極海を主な観測対象海域とし、現場観測、培養飼育実験、海洋生態系モデルを組み合わせ、低次生態系の中で特に炭酸塩殻を持つ主要動物プランクトンへの影響評価を行うとともに種の多様性変化の理解を深める。 さらに基礎生産者の優占種である珪藻の生産量の変化にどのような影響を及ぼすのか、近い将来の低次生態系の生産量をどう変化させ、食物網へどのような影響を及ぼす可能性があるのか?予測も含めた研究を実施する。

達成目標

・酸性化に代表される環境ストレッサーに対する海洋生態系の応答把握
・長期時間スケールの地球表層物質循環の変動過程の把握

培養•飼育実験、現場観測(船舶・衛星)、海洋生態系モデル、新手法開発など、細胞スケールから海盆スケールまでダイナミックレンジで各種手法を駆使して取り組み、5年で次のことを明らかにしたい。

1)CO2、pH、温度など環境因子の変化
2)1)に対する海洋生態系機能(生産量、多様性、生物ポンプ等)の変化
3)モデルによる海洋生態系機能の解析と将来予測
4)過去数千年にわたる大気ー海洋循環の変動把握とその生物生産への影響

期待される成果

平成27年度 NEW

・北太平洋亜寒帯および北極海における環境変化に対する低次生態系の応答に関する現場データならびに飼育培養実験データの取得
・高解像度の海洋生態系モデルのおよびIPCC貢献の海洋生態系モデルの国際間比較解析の領域・広域モデルの高精度化

1.観測

・北太平洋亜寒帯域K2(45N、160E)、北極海カナダ海盆西部ノースウインド深海平原(75N、162W)を監視観測サイトに決定。時系列セジメントトラップ係留系の設置、回収観測を実施する。
・Ships of Opportunity:連続プランクトンレコーダによる動物プランクトンのサンプリングを北太平洋亜寒帯域において継続する。

2.機器開発

・新型FRRF(多波長励起蛍光光度計)の完成を目指す。
・海洋酸性化に対する炭酸塩生物の応答の定量評価手法の確立のため、マイクロX線コンピュータートモグラフィー装置を導入し、立ち上げを行う。

3.生態系モデル

・観測や培養飼育実験で得られた低次生物の生理応答データを利用し、高解像度生態系モデルの高精度化ならびに、CMIP5やMAREMIPなどの領域・広域モデルも精度向上を目指す。

平成26年度

・北太平洋亜寒帯および北極海における環境変化に対する低次生態系の応答の初期評価
・海洋生態系モデルの国際比較から、昇温に対する生態系応答の将来予測の結果

1.観測航海

・北極Gの航海に参加:北極海の定点での水塊データならびに時系列沈降粒子の採取
・全球海洋Gの航海に参加:北太平洋亜寒帯域にて海洋酸性化監視に適したサイトの調査
・Ship of Opportunity:動物プランクトン群集の広域観測を実施

2.機器開発

・植物プランクトンの海洋酸性化影響評価用実験装置開発
・新型FRRF(多波長励起蛍光光度計)開発

3.モデル

・観測や室内実験による低次生物の生理応答データを利用しながら高解像度モデルからCMIP5やMAREMIPなど領域から広域まで既存のモデルによる海洋酸性化の生態系への影響評価に着手

観測 培養飼育実験 海洋生態系モデル