海洋循環研究グループ

高度な観測技術や4次元データ同化技術などの先駆的な技術を最大限に活用し、太平洋・インド洋及び南大洋において海洋観測を実施し、海洋の循環や海洋の環境変動及び全球海洋スケールでの熱や物質分布とそれらの中長期変動を把握することをめざす。
気候変動における海洋の役割を、海洋循環、熱循環、及び淡水循環との関わりの面から明らかにするため、機動性に優れたArgoフロートを国内外関係機関と協力しつつ太平洋・インド洋及び南大洋のフロント域や水塊変化の活発な鉛直層など気候変動研究のキーとなる海域へ展開する。
また、得られたデータを四次元変分法データ統合システムによってその他の海洋観測データと統合し、力学解析に適した海洋環境再現データセットを作成することで、現状の把握のみならず、力学過程の解明を試みる。特に水塊の変動、生成過程に焦点を当てた解析研究を実施することで、海面における気候変動現象と亜表層の海洋環境変動の関連の理解を進める。
そこから得られた知見を検証・補強するべくArgoフロートの投入海域を新たに設定するなど、機構の持つ技術を相補的に活用することで先進的な気候変動研究を行う。
得られた観測データやデータセットは一般に公開し国際的な気候変動研究の推進に貢献する。その一環としてPacific Argo Regional Center (PARC)を運用し、太平洋で取得したArgoデータの一貫性チェックを実施し、それらを用いてプロダクトを作成し配信する。

アプローチの独自性と達成目標

海盆規模の船舶高精度観測と自動昇降型フロートによる長期間の広域表層観測、および、地球シミュレータを用いたデータ統合解析等を駆使し、
  「観測(T,S,流速)=>データ統合=>最適観測計画策定=>より適切な観測網の構築、モデル改良」
というループを機能させることで、淡水循環や精緻な熱輸送についての統合解析を行い、
 ・海面における気候変動現象と海洋の成層構造を形成する水塊の変質、移動とを関連付け、
 ・貯熱量変動や海面水位変動などの海洋環境変動を引き起こすパスウェイを太平洋、南大洋域で明らかにする。

平成26年度の活動

1.Argoフロート・PARC運用

・Argoフロートの機動性を活かしてデータ統合システムやデータ解析から得られた情報などをもとに海洋環境変動にとってキーとなる水塊をターゲットとし、Global Argo観測を実施する。具体的には太平洋亜熱帯~亜寒帯海域及び南大洋にArgoフロートを投入する。
・PARCによるデータの加工、配信を実施しGlobal Argo ProjectやCLIVAR/GODAE等の活動に資する。

2.四次元変分法データ統合システムの活用

・地球シミュレータ上でデータ統合システムを運用し海面の気候変動現象に対する水塊の感度を評価することで、表層と亜表層の変動間のリンクを調査する。また、データ統合プロダクトの再現性を向上させるため、これまでの集中観測の成果や、次世代Argoフロートで検出が期待されている内部波の力学などを考慮に入れつつシステムを改良する。

3.船舶観測

・亜熱帯モード水の形成・変質過程等を調べるため「かいよう」による観測航海を行う。

Global Argo Map
Global Argo Map
データ統合システム・感度解析を利用した気候変動研究
データ統合システム・感度解析を利用した気候変動研究

これらを通して太平洋海盆における水塊の変動と貯熱量、物質量などの変動との関連に関する新たな知見を得る