研究テーマ
海洋は大気中で増加する二酸化炭素濃度を制御する重要な働きを持っています。
近年、地球環境の変化による海洋の温暖化、成層化、淡水化、酸性化等海洋環境の変化が検出されるようになってきました。
これにより海洋の生態系が変化し、それを介した海洋の物質循環過程が変化することが予想されます。
その結果、海洋の持つ二酸化炭素制御能力が変化し、その変化が地球環境変化を加速する可能性が指摘され始めています。
海洋物質循環研究チームでは海洋環境変化に伴う海洋生態系を介した二酸化炭素を中心とする物質循環過程の変化と
そのフィードバック機能の解明を目標に観測研究を実施しています。
海洋は大気中で増加する二酸化炭素濃度を制御する重要な働きを持っています。
近年、地球環境の変化による海洋の温暖化、成層化、淡水化、酸性化等海洋環境の変化が検出されるようになってきました。
これにより海洋の生態系が変化し、それを介した海洋の物質循環過程が変化することが予想されます。
その結果、海洋の持つ二酸化炭素制御能力が変化し、その変化が地球環境変化を加速する可能性が指摘され始めています。
海洋物質循環研究チームでは海洋環境変化に伴う海洋生態系を介した二酸化炭素を中心とする物質循環過程の変化と
そのフィードバック機能の解明を目標に観測研究を実施しています。
研究海域
研究海域は深層水の終着点に相当する西部北太平洋です。
同海域の亜寒帯循環域と亜熱帯循環域に観測定点を設定しています(亜寒帯定点K2: 北緯47度/東経160度、亜熱帯定点S1: 北緯30度/東経145度)。
これらの観測定点は以下のような違いがあります。
| K2 | S1 | |
|---|---|---|
| 水温 | 低 | 高 |
| 塩分 | 低 | 高 |
| 栄養塩濃度 | 高 | 低 |
| 冬のCO2収支 | CO2放出 | CO2吸収 |
| 大気塵供給量 | 少(?) | 多(?) |
| 動物/植物プランクトン現存量 | 多 | 少 |
また、両観測海域はアジアモンスーン、エルニーニョや北極振動等様々な大気・海洋現象/中長期変動に対する応答特性が異なる事も推定されています。
応答特性の異なるK2とS1で海洋観測/船上実験を行います。そして同海域の季節変動を明らかにした後、長期変動の検出に努めます。
これらの観測は国内外の外部研究者といっしょに実施することで様々な観点からの考察を行います。
観測研究手法
本研究を遂行するため観測船、係留系、人工衛星による観測研究を実施しています。
(1) 船舶による海洋観測
海洋地球観測船「みらい」を中心にした船舶によりK2、S1を様々な季節に訪問します。
以下は「みらい」による観測航海計画です。
(●:実施済もしくはほぼ決定)
| Jan | Feb | Mar | Apr | May | Jun | Jul | Aug | Sep | Oct | Nov | Dec | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 2010 | ● | ● | ||||||||||
| 2011 | ● | ● | ● | |||||||||
| 2012 | ● | |||||||||||
| 2013 | ○ |
それぞれの観測点では以下のような項目を観測します。
A) 海水中溶存成分
塩分、酸素、栄養塩、炭酸系(pH、全炭酸、アルカリ度、pCO2、炭素同位体、溶存有機炭素)、植物色素、揮発成分、天然放射性核種、微量金属
B) 粒子
懸濁粒子/沈降粒子の鉛直分布、化学成分(主成分、同位体、微化石)、酸性多糖類(TEP)
C) 動物/植物プランクトン、微生物
種組成、基礎生産力、窒素固定、摂餌速度、糞粒生産速度、細菌生産速度、鉛直分布
D) 海底堆積物
堆積速度、微化石
E) 水中光環境
F) 海洋物理
(2) 係留系による時系列観測
西部北太平洋、特に亜寒帯循環域は、海洋生物学的、物理学的、化学的季節変動が世界で最も大きな海域です。
従ってこの海域では高頻度の時系列観測が必須です。
そのため我々は観測定点に以下の係留系を設置し、高頻度の時系列観測研究を実施しています。
A)セジメントトラップ係留系(BGC係留系)
海洋表層で形成され海洋内を沈降する粒子(マリンスノー)を数週間毎に自動的に収集する時系列式セジメントトラップを複数層に搭載した係留系を用いて、沈降粒子の鉛直輸送過程の観測研究を行っています。
B)基礎生産プロファイラー
海洋表層(有光層)の基礎生産力を測定する高速フラッシュ励起蛍光光度計(FRRF)を搭載した係留系です。FRRF他CTD、酸素計、水中光センサー等を搭載した観測ブイが水深約200mに係留された水中ウインチに接続されています。1日1回、この観測ブイが海面まで上昇し水中の水温、塩分、酸素濃度、クロロフィル、水中光、基礎生産力を測定します。海面に到達し人工衛星を介してデータを転送後、再び水中ウインチに巻き込まれてホームポジション(~200m)に戻ります。
C) 人工衛星による海洋観測
西部北太平洋全体の海洋環境を広域に、同時に、かつ連続して観測するために人工衛星のデータ解析も実施しています。
衛星による観測で海洋表層付近の水温、日射量、海色、海面高度、海上風速の時空間変動を知る事ができます。
これらのデータ解析から観測海域の潮流、渦等の水塊構造、植物プランクトンの存在量や基礎生産力の時空間変動を推定する事が可能となります。
